孤高の人『武蔵の五輪書を攻略する』

書評

『物事のさかゆる拍子、おとろう拍子、
能々分別すべし』

これは、『五輪書』(宮本武蔵)の地の巻
に記されている言葉です。

以前、五輪書の原文を読んだときに
得心し、以後心に留めてきた言葉です。

今回、五輪書の解説本である本書
『武蔵の五輪書を攻略する』(細谷正充)
を手にしたのは、

武蔵の教えを物語として表現し、
内容を理解しやすいように工夫が
凝らされていたからです。

五輪書は兵法の書ですが、
人生論の書としても非常に価値が
あると感じています。

そして、五輪書といえば、今でも時々
思い出すシーンがあります。

それは、科学者であり、日本人初の
宇宙飛行士である毛利衛氏の
ドキュメンタリー番組です。

いつも、時間の許されるときには、
「五輪書」に目を通し続けていた
とのひとシーン。

宇宙に飛び立つ前の心境とは?

宇宙への期待と死の恐怖があった
のだと思うのです。

その思いを一心に「五輪書」と向き合う
ことで、前に向かわれたのだと感じて
います。

「五輪書」とその解説書である本書、
ぜひ、手元に置いて頂きたい書籍の
ひとつです。

こうした思いの中、
私の「せきがくの旅」は始まりました。

本書は、15の章で構成されています。

・地之巻冒頭
・死ぬるという道を嗜む事
・兵法の未道
・兵法の拍子の事
・道をおこなう法
・水之巻冒頭
・兵法心持ちの事
・たけくらべという事
・多数のくらいの事
・くづれを知るという事
・うろめかすという事
・さんかいのかわりという事
・いわをのみという事
・奥表という事
・空の道

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本書で学んだ素敵な言葉

まず崩す。それから攻める。
これができれば、たいがいの人間は、
自分の思いのまま動かせる。

(本書「10章」くづれを知るより)

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孤高に生きた兵法家武蔵の考え

・剣の勝負の心構えのなかに、
人間関係の極意がある。

・武器の選び方のなかに、
人使いの真理がある。

・修行の方法論のなかに、
学問への正しき姿勢がある。

これは、本書「あとがき」に記された
内容です。

五輪書は、ただの兵法書ではない。
自分の心が大きければ、大きいほど、
深ければ深いほど得る物が大きくなる。

本書の著者は、武蔵について、次の
ように記している。

『宮本武蔵という兵法者は、自己の総て
を賭けて兵法を掘り下げた人間であり、
その結果として、人の身体や思想の根源
部分にまで到達してしまったのだ。

道を究めるとは、
そういうことなのだろう。』


それでは、本書の中で私が特に興味を
惹かれた箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶死ぬほどの覚悟をもつことにより、
いつでも物の役に立つよう、心身を
鍛えておく。

❷自分にとって、何が一番大切なのか。
そのことを見極めた上で、行動すること
こそが、物事の損得を知ることである。

❸どんなに受け入れがたいもので
あってもそれが事実であるならば、
正しく認めること。

❹人というのは、ひとりひとり違うもの。
だから、それぞれの技量や資質を見極め、
それに合わせた稽古をつけてやらねばならぬ。

❺兵法を究める者が行き着く先は、
一片の迷いの雲なき空である。
兵法者ならば、空の境地を目指すべき。

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本書に私淑して私が思うこと

『一片の迷いのない雲なき空であること。』

『迷いの雲の晴れたところこそ
真実の空と知るべし』


この「空の巻」に記された言葉が常に
私の心の中にあります。

そして、その思いは深化を辿り、
今に至っています。

追い求め、前に進み続け、
その行き着く先に何があるのか。

「究める」日々を貫き、その先に
「真実の空」があるのであれば、
知ってみたい。

それはこれまで以上に、ここまで
築き上げてきた「考え」を前に進める
ことで行き着けるかもしれない。

私は今、ある「理論」の完成を目指して
プロジェクトを進めています。

蓋し、本書に私淑した意義は、「理論」を
完成すべく、「意志」と「覚悟」を再認識
することにあったように思います。

「五輪書」を読み進めることで、
「理論」完成の為の障碍をとり除く知恵を
授かったように感じています。

本書は、技術力と人間力を高めるために
お勧めの一冊です。

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まとめ(孤高の人)

『孤高に生きた日本最強の男・宮本武蔵』

これは、本書の表紙裏面に
記された言葉です。

孤高の人。

周りの目を気にせず、物事を成功させる
にはどのような方法が適しているのかを
優先して、自分が確信したやり方を突き
通す人。(Google検索AIによる概要)

武蔵故、多くの人が、
得心の行く言葉を残せたのだと
思うのです。

それは、剣術のみではなく、
想像を越す研鑽によるものであると
思います。

・うろめかすという事
・いわをのみという事
・たけくらべという事

五輪書の教えの数々、
今も私の深奥で一片、一片、
折り重なっています。

ぜひ、本書と共に「せきがくの旅」を
はじめてみて頂ければと願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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