【癌克服奮闘記27】死を見つめる!心の揺らぎを越えて 自己判断

健康人生研究

◉PSA検査(正常値0~4ng/mL)を早めに!前立腺癌は早期発見で根治可能です。私はPSA値310でした。グリソンスコア8、前立腺癌、リンパ節と骨に転移し、ステージⅣ(5年生存率30~50%)、根治はなくなり共生の道を探っています。

第27話 自己判断―前立腺癌の治療選択とPSA改善、残された時間の生き方

「322まで上がっていたPSAが前回16.50に、そして今回6.34まで下がりました。順調です。良かったです。」

診察室で担当医からそう告げられた瞬間、胸の奥からじわっと温かいものが広がった。
ここ数か月、数字に一喜一憂する日々を送ってきた私にとって、この言葉は何よりも大きな励ましだった。


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PSA値との向き合い方

私の前立腺癌はすでにリンパ節と骨に転移していた。発覚した時点でPSA値は310、その後322まで上昇し、背中を襲う激痛は座薬すら効かないほどだった。痛みに耐えかね、夜中に何度も目を覚ます。布団に横たわりながら「明日の朝を迎えられるだろうか」と思うこともあった。

当時、治療の選択肢は大きく二つに絞られた。すぐに抗がん剤を投与するか、あるいは生検を行い、ホルモン治療から始めるか。医師は慎重に説明してくれたが、最終的に決めるのは自分自身だった。


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自己判断の重み

医療現場では「患者の意思」が尊重される。医師は道を示してくれるが、歩むかどうかを選ぶのは患者だ。私はそのとき、あえて痛みに耐えてでも「正規の治療の流れ」に従う道を選んだ。

生検を受け、ホルモン治療を開始したのは「選択肢を残したい」という思いからだ。もし抗がん剤から始めてしまえば、後に使える治療法が限られてしまう。背中の激痛に押しつぶされそうになりながらも、私は未来の自分に治療の余地を残すことを優先した。

結果的に、この判断は功を奏した。ホルモン注射1回目で背中の痛みはすっと消え、以来、不思議なくらい痛みは戻ってこない。夜眠れる喜び、朝目覚める感謝――普通のことがどれほど尊いかを痛感した。


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数値の改善と安心感

今回の診察でPSA値は6.34まで下がった。数字そのものがすべてではないが、目に見える形で改善が確認できるのは大きい。数字は嘘をつかないし、心の支えになる。

それでも、私は決して楽観視していない。医師の言葉を借りれば「いずれPSAは再び上昇する」。ホルモン治療が効かなくなれば、次の段階として抗がん剤治療が待っている。その時期は確実にやってくる。

だからこそ、今のこの時間を「猶予」として大切に使いたいと考えている。


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日常の中での工夫

闘病生活の中心は病院と治療だが、それだけではない。私は「生きるための習慣」をいくつか心がけている。

  1. 早朝の散歩
    まだ人の少ない時間帯に外を歩く。季節ごとに変わる空気や花の香りを感じると、「生きている」という実感が湧いてくる。
  2. 読書と思索
    歴史書や哲学書に向き合い、先人たちの生き方や死生観に触れる。病気の不安を超えて「人はなぜ生き、どう死ぬのか」を考える時間は、心の整理につながる。
  3. 家族との会話
    短い会話でもいい。何気ないやりとりが心を和ませてくれる。病を抱えているとつい重苦しくなりがちだが、笑い合える瞬間があるだけで、世界は明るく見える。

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判断基準の根っこにあるもの

私は「正しい方法、本来あるべき姿で進めること」を大切にしている。これは病気だけでなく、仕事や人間関係でも同じだ。近道や裏道を探すのではなく、筋の通った道を歩みたい。

医師にすべてを委ねるのではなく、自分の考えを持って選択する。もちろん医学の専門知識は持ち合わせていない。それでも、最終的には「どう生きたいか」という価値観が治療の方向性を決めるのだと思う。

その意味で今回の治療選択は「自己判断」の積み重ねだった。痛みに耐え、生検を受け、ホルモン治療を選んだ。そしてその結果、今こうして落ち着いた日常を取り戻している。


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残された時間をどう使うか

「いずれ抗がん剤治療が始まる」――その現実を私は正面から受け止めている。だが、それは恐怖ではない。むしろ、限られた時間をどう生きるかを考える契機となる。

私は「やることリスト」を整理しようと思う。

  • 家族に残したい言葉
  • 読み終えたい本
  • 書き残したい文章
  • 会っておきたい人

病は「死」を意識させる。しかし同時に「生」を濃くする力もある。人は永遠には生きられない。だからこそ、一つひとつの行動に意味を込めたい。


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読者へのメッセージ

このブログを読んでいる方の中には、同じように病と向き合っている人もいるだろう。あるいは、家族が病を抱えている方もいるかもしれない。

伝えたいのは、「最後に決めるのは自分自身だ」ということだ。医師や家族の意見はもちろん大切だが、自分が納得して選んだ治療こそが、心を支えてくれる。

そして、治療の結果がどうであれ、「自分で選んだ」という事実が、後悔の少ない生き方へとつながる。


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終わりに

PSA値が下がった今、私は少しだけ未来を見渡す余裕を得た。だが、それは永遠には続かない。再び数値が上がり、次の治療が始まる日が来る。

その時までに、私は「やることリスト」を一つずつ実行していきたい。
自己判断を重ねながら、最後まで「自分の人生」を歩んでいきたいと思う。

書籍『自分の心を見つけるゲーテの言葉』に私淑しながら

ボアソルチ

#前立腺癌 #癌克服 #闘病記 #希望の記録 #癌と向き合う

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