新しいアイデアを生み出す『水平思考の世界』

書評

『脳が持つ機能に素直に従えば、水平思考
が必要になるのである。なぜなら、思考パ
ターンというものは、脳が決めるものだか
らだ。』

これは、本書『水平思考の世界』
(エドワード・デボノ)の要約に
記されている言葉です。

ふと、興味を引かれ、その後手元に置く
一冊となった本です。

論理的思考、合理的思考、仮説思考等、
多くの思考方法について学んできましたが
水平思考という思考法は初めてでした。

さらに、水平思考と垂直思考を比較した
解説に、大変興味を持ちました。

私は事業を進める中で、2つの思考を磨く
ことが重要であると考え、日々、私淑と
親炙を繰り返しています。

1つは「価値創造」、そして、2つ目は、
「課題解決」です。

本書は、前者を追求する上で、非常に
役立つ書籍であると直観し、すぐに、
研究を開始することになりました。

・水平思考とは何か?
・対比される垂直思考とは?
・新しいアイデアを生み出せるのか?

本書を読み進めるうちに、その疑問は、
少しづつ解消されていくことに。

そして、私の中で、新たなアイデアを生み
出す独自の方法論が構築される経験をする
ことになりました。

本書は以下の章で構成されています。

・人生には、水平思考でしか解決できない
 問題がある
・誰にでも入手可能な既成の情報を新しい
 やり方で見つめなおす
・新しいアイデアと既成のアイデアの複雑
 な関係
・水平思考の可能性は無限

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本書で学んだ素敵な言葉

ロジカルシンキングの限界を軽々と
乗り越える水平思考

本書「プロローグ」より

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新しいアイデアを日々求めるあなたへ!

『新しいアイデアを生みだす思考方法を
水平思考、従来の論理的思考を垂直思考
という造語で呼ぶことにする。』

本書「プロローグ」に記された著者のこの
言葉に大変興味を持ちました。

「水平思考」という聞きなれない言葉に
ごく自然に期待を抱きました。

新たな事業のアイデア、既に進行中の
開発案件の新たな可能性を追う中で、
どう頭を働かせれば良いのか、

常に考え続けている中で、この言葉が答え
に導いてくれるようなそんな予感と共に、
読み進めることになりました。

著者は、次のように記しています。

『新しいアイデアを次々と生み出す人々が
いる一方で、同レベルの知性を持ちながら
決して新しいアイデアを生み出さない人々
が存在するのはどうしてだろう。』

人々のタイプは、著者が示すように新しい
アイデアを生み出す人と、それを形にして
成果に結びつける人に分かれます。

前者が水平思考の人、後者が垂直思考の人
ということだと理解をしています。

勿論両方の能力を備えている人もいますが
それは、数としては少ないといえます。

論理的思考を確実に進めて行けば、時間は
かかりますが、多くのことが解決に至ると
思います。

しかし、解決に至らず苦慮することは、
多くの人が体験していると思います。

それは、過去に経験をしていない問題と
新しい企画(事業)の創出です。

しかし、最終責任者は解決策を何としても
生み出し、決断をして断行しなければなり
ません。

私も幾度となく、そうした状況に置かれた
経験があり、それ故、新しいアイデアを生
み出す方法を追い続けている状況です。

まずは、本書で解説されている水平思考を
学び、そのうえで、自分にとって望ましい
新しいアイデアを生み出す手法を形にして
頂ければと願っています。

本書を読み終える頃には、いくつかの独自
の手法を身に付け、解決の手だてを増やせ
ていることと思います。

私がそうであったように。

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新しいアイデアを生み出すための著者の考え方

『水平思考を用いることにより、絶体絶命
と思われた状況を自分に極めて好都合な
状況へと転換することができる。』

これは、本書「第一章」に記された
著者の言葉です。

この言葉から「水平思考」とは、実に頼も
しい思考方法であることが推測できる。

ここで著者は、実に得心のいく、ひとつの
例を紹介している。

以下の問題を与えられたとしたら、
あなたは、どのように乗り切りますか?

ある商人が金貸しから多額の金を借りた時
の話である。

商人とその娘、そして、金貸しの3人が
小石を敷いた庭に立っている。

金貸しは、かがみこんで小石を
2つ拾った。

娘は、金貸しが2つとも黒の石を拾って
財布に入れたことに気づいた。

小石が黒なら娘は金貸しの妻となり、
借金はなかったことになる。

白ならば、娘は商人のもとに留まり、
借金はなかったことになる。

娘が小石を取り出すことを拒めば、商人
は投獄され、娘は飢えることになる。

娘は、財布から小石を取り出さねば
ならない。

さて、あなたが娘であったならば、この
状況を如何にして切り抜けるだろうか?

~ぜひ、数分間、考えてみてほしい。~

娘は、以下の対処で、
この難局を乗り切った。

◎娘は、財布に手を入れて小石を取り出し
その小石に目をやることなく、うっかりを
装って小道に落とした。

そして、こう言った。

「あら、私ったらなんてことを」
「でも大丈夫。財布の中に残っている小石
を見れば、私が選んだのが黒か白かわかり
ますもの。」

この考え方が、「水平思考」である。

いかがでしょうか?

「水平思考」をなんとなく、
イメージできましたか?

いかなる局面においても、解決しなければ
ならない状況というものがあります。

ひとは、もうあとがない、という状況に
追い込まれると、なにがしかの策を
思いつき、解決できることがあります。

しかし、それは、非常に稀なことであり、
いつでも、そうできるとは限りません。

「水平思考」がそうした対処ができる
優れた思考方法であるならば、ぜひ、
習得したいと、皆が思うことでしょう。

ぜひ、著者が伝えるこの「水平思考」の
頼もしさを体感して頂きたいと思います。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶水平思考が目指すのは大発見

思考の技術は、余計な思考を排除して、
状況を認識した瞬間に行動が起きるよう
にすることにある。

ある状況に対する最も確実性の高い解釈が
最も有効と思われる行動を引き起こして
こそ、それは可能になる。

❷コロンブスの卵

問題に取り組む際には、解答が存在する
範囲をあらかじめ想定するのが一般的だ。

その範囲は仮定によって定められ、定めら
れたその枠の中で垂直思考を進めて解答を
見いだす。

だが、その枠は仮定として定められたもの
にすぎず、実際の解答はその枠の外にある
ことが非常に多い。

コロンブスの卵の話はそうした例の一つ
である。

❸科学者が好きな言葉、セレンディピティ

セレンディピティというのは、何かを探し
ているときに、それとは全く別の非常に
価値あるものを偶然見つけることである。

❹動機を操作する

経験は容易に変えられないが、動機を操作
することによって確実性を効率的に変える
ことはできる。

新しいアイデアには、古典的な単純性が
ある場合が多い。

つまり、混沌とした雑然さとはほど遠い
秩序正しさがあるのである。

❺部外者の視点

確信を持って決断を下せるのは、ほかに
選択肢がないからではない。

数多くのほかの選択肢を検討した上で
そのすべてを却下できる能力があって
こそ、下した決断に確信が持てる。

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本書に私淑して私が思うこと

『水平思考の魅力は、シンプルな良いアイ
デアを求める心躍る探求であり、誰にでも
できる思考方法だという点である。』

これは、本書「要約」において、
著者が記している言葉です。

「心躍る」、実に、
興味を沸かせる表現です。

なぜなら、ということで、著者は、
以下の解説を補足しています。

『なぜなら水平思考は、純粋に知能だけに
頼るものではないからだ。』

素直に脳が持つ機能に従えば、誰でも
水平思考で考えることができるという
ことであろう。

益々、水平思考に対する興味が
深まっていく。

私は、いかなる問題、予期せぬ問題が生じ
ても、そう時間をかけずに解決に向けての
対処方法を見いだす自信がある。

これは、自慢とか、過信ではなく、
こころからそう思っています。

それは、多くの問題を抱え、非常に
苦慮した経験があるからです。

ある方にお会いし、「合理的思考」を教わ
り、それ以降、問題解決には自信がもてる
ようになったのです。

親炙の機会を与えて頂いたその方には、
どう言葉に表して良いかわからないほど
とても感謝をしています。

しかし、これは、問題解決の手法です。

新しい、価値創造については、
別の考え方が必要であるということを
その後、実感として胸に抱えてきました。

そして、本書で知った「水平思考」は、
その解のひとつとして、私の中で、
大変重要な考え方になっています。

一つ、ひとつ、理詰めで理論的に考え、
解を見い出していく行為はとても
大事です。

私は、この著者が「垂直思考」と表現する
論理的思考がとても好きですし、自分には
あっていると感じています。

ですが、著者が「心躍る」と表現する
「水平思考」に、「頼もしさ」を
感じるのです。

ぜひ、習得したいと、強く感じたのです。

特に、高い目標を抱いて、日々発生する
課題解決に挑んでいる方には、ぜひ、
知って頂きたい思考技術です。

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まとめ(「新しいアイデア」)

今回は、『水平思考の世界』(エドワード
・デボノ)』についてお伝えしました。

本書を読み終えて思ったことは、また
「良き相棒」が増えたなあということ。

私には、こころから信頼できる相棒と
呼ばせてもらっているひとがいます。

それ以外は、こうした思考技術が、
良き相棒なのです。

目的によって、その得意とする分野で
私を支援してくれています。

それ故に、幾つになっても新たなことに
挑戦していける勇気を保っていられるの
です。感謝、感謝です。

本書によって得た嬉しい言葉、
「心躍る」思考技術、「水平思考」。

ひとりでも多くの人に知って頂きたいと
こころから、そう願っています。

心の保険となる思考技術を身に付けて
常に目標を据えて、挑んで頂きたい、
そう願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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