第5話:MRI ― 見えた現実と残された希望
MRIの結果、前立腺とリンパ節に癌の影が映っていました。
けれど、不思議なことに、骨への転移は確認されませんでした。
「生検を至急行い、治療を始めましょう。すぐ入院の手続きを進めます」
医師の言葉が響きました。
やはり前立腺癌はありました。
PSA値300、そして背中の激痛――当然の結果だったのかもしれません。
けれど、意外にもショックはそれほど大きくなかった。
事前に調べ、自分なりの覚悟をしていたからでしょう。
ただ、リンパ節への転移。
ステージⅢかⅣ――5年生存率50%前後という記事が頭をよぎります。
どこかで、「もしかして違うかも」と希望を持っていた。
けれど今、現実に引き戻されました。
それでも、立ち止まるわけにはいきません。
たとえ根治が叶わずとも、「共に生きる道」はあるはずです。
——癌と上手に付き合う。
それが、これからの生き方になるかもしれません。
そう思ったとき、ふと耳にした言葉を思い出しました。
医師の告知は「予想」にすぎない。
それを逆から読むと――
「う・そ・よ」
…冗談にしては、少し救われた気がしました。
共存の道は、きっとある。
そう信じて、また一歩前へ進みます。
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