徹底して深く考える基本原則『マネジメント』

書評

『基本と原則に反するものは、例外なく
破綻する』

これは、本書「マネジメント」
(P.F.ドラッカー)の表紙を捲ると
真っ先に目に入る著者の言葉。

実に研ぎ澄まされた鋭敏な一言である。

私は長きに渡りプロジェクトの責任者
の任を務めてきました。

納期と品質とコスト管理を徹底して、
プロジェクトの遂行に努めてきました。

多くの問題も「課題解決」の技術を
身に付ける事で捌いてきました。

解決の基本、最後に頼れるものは、
「人の力」であることを経験の中から
理解できるほどになってもいました。

それは、マネージャーとしての立場から
「マネジメント」の役割を考え遂行して
いた時代のことです。

それが経営をする立場で「マネジメント」
を考えねばならない状況が訪れます。

それは、準備の間もなく、突然、
「経営」の世界に飛び込むことに。

「正しいこと」を進める。

その頑なな強い意志を貫くということから
「必然の成り行き」だったといえます。

「正義感」からとった行動であり、
今でも、決して後悔はしていません。

しかし、ただ、ひとつ言えることは、
「急であった」ことです。

そうした急を要する状況の中で、
支えてくれたのが本書です。

多くのことを学び、自ら考え、行動する
ことで、胆識力を磨くことができました。

突然の人生の転機ではありましたが、
今思うと、当時の決断は正しかった
とあらためて思います。

もし、そうせずに、当時の環境に身を置き
続けていたならば、冒頭の言葉通りの道を
歩むことになっていたのだと。

本書は「マネジメント」を深く考え、
身に付ける術を教えてくれます。

そして、事業を進めるうえでの正しい
考え方を習得でき、加えて心地よく
読み進めることができるのです。

特に最終責任者の方にとって、
「お勧めの一冊」といえます。

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本書で学んだ素敵な言葉

企業の目的の定義は、一つしかない。
それは、顧客を創造することである。

(ピーター・F・ドラッカー)

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マネジメントを深く考え学びたい方へ

社会の中で生き行くために、マネジメント
を正しく理解することは非常に重要です。

それは如何なる立場であっても各々に、異
なるマネジメントの役割があるからです。

一担当者から管理職、そして経営の職に
至る過程を経験することで実感できます。

特に重要なことは、本書を読み進める中で
知る次の言葉に含まれています。

『マネジメントには基本とすべきもの、
原則とすべきものがある』

事業を進める中では、多くの問題を
解決していく必要があります。

限られた情報と時間の中で決断し、
時には、断行すべきことがあります。

正しく望ましい状態に「こと」を進める
ためには、このマネジメント力がなくて
はならない必須の能力といえます。

企業とは何か、事業とは何か、
事業の目標、戦略計画等々。

深く考え、目的を達成するためには、
マネジメントの基本と原則を正しく
習得する必要があります。

本書で幾度となく繰り返し記される
以下の言葉は、マネジメントの本質
であると思います。

『変わらざるもの、変わりえないもの』

起業し事業を進める立場にある方は、
マネジメントの基本原則を徹底して
深く考える必要があるといえます。

本書は、基本から実践に至るまで、
非常に説得力のある言葉で、
マネジメントを指南してくれます。

本書は、常に手元に置きながら、日々の
課題解決の為のバイブルとなる書である
と位置づけています。

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深く考えるための基本原則を重視する著者の考え方

『新しい理論の完成を待っている余裕は
ない。行動しなければならない。』

これは、本書「序-新たな挑戦」の中で
記されている著者の言葉です。

「行動」しなければ、何も変わらない、
なにも生まれない、なにも解決しない

私は、常に「行動の人」でありたい、
そう願い、実践してきました。

本書を読み進めていると、この思いを
再度確認でき、しっかりと後ろから、
支えられているように感じてきます。

本書は、マネジメントの使命、方法、
そして、戦略について、9章の構成で
貴重な教えが記されています。

各章の中で特に強く印象付けられたのは、
企業の成果と意思決定です。

以下の著者が示す2つの言葉は、私の中で
「いつも考え続けているテーマ」となり、
事業を進めるための羅針盤になりました。

◎企業の目的の定義は一つしかない。
それは、顧客を創造することである。

◎意思決定で重要なことは、問題を
明らかにすることである。

本書は読み返す都度、受け取る教えは
異なって展開されていきます。

著者の言葉から多くの発想を得てきま
したが、それが、確実に変わってきて
いるのです。

それは、自分の成長と共に、取り巻く
景色と実力が変わってきたことによる
のだと思います。

いつまでも、手元においておきたい
本の1つです。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
項目を引用しておきます。

【引用5選】

❶マネジャーは、起業家でなければならな
い。イノベーションのための組織を作り、
動かすことを学ばなければならない。

❷「われわれは何を売りたいか」ではなく
「顧客は何を買いたいか」を問う。

「われわれの製品やサービスにできること
はこれである」ではなく、「顧客が価値
ありとし、必要とし、求めている満足が
これである」と言う。

❸マーケティングの理想は、販売を不要に
することである。マーケティングが目指す
ものは、顧客を理解し、製品とサービスを
顧客に合わせ、おのずから売れるようにす
ることである。

❹利益とは、原因ではなく結果である。

マーケティング、イノベーション、生産性
向上の結果手にするものである。したがっ
て利益は、それ自体致命的に重要な経済的
機能を果たす必要不可欠のものである。

❺欧米では、意思決定の力点は、問題に対
する答えに置く。ところが日本では、意志
決定で重要なことは問題を明らかにするこ
とである。

そもそも意思決定は必要か、そもそも何に
ついての意思決定かを明らかにすることが
重要とされる。

われわれが決定と呼ぶ段階に達したとき、
日本では行動の段階に達したという。
コンセンサス形成のプロセスで、誰が
どのような考えを持っているかが
明らかになっているからである。

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創造と行動を第一義とする私の考え

『なにが問題かがわかれば、それはもう
問題ではない。』

この言葉は、いつの頃からか、
私の中で繰り返されるようになった
「思考の原動力」です。

問題の本質を突き止めることに、
最大限意識を集中します。

そして、そのための実現手段を
いくつも身に付けてきました。

その中の一つが、「合理的思考」であり、
最も大事にしているのが「人の心」です。

全ての事象の根源にあるものであり、
また、解決の糸口になるものであると
経験からこうした思いに至っています。

本書を読み進めていく中で、あらためて
こうしたことを再確認し、より深く
考えることになった章があります。

それが、第6章マネジメントの技能の中
にある「意思決定」の項目です。

著者が強調する以下の2つの言葉は、
非常に印象的でした。

そして、それは冷静に考えると私自身が
無意識のうちに理想とし、求めていた
もののように感じるのです。

『意見の対立を見ない時には、決定を
行わない』

『決定を行った後でその決定を売り込む
必要があるのでは、行動は起こされないし
成果も得られない。』

私にとってこの2つの言葉は、これからも
永く追及し、自分のものにできるよう考え
と行動を深めていきたいテーマです。

本書は読み手の経験、考え、行動によって
心に響く内容は異なるのだと思います。

ただ、言えることは、読む人の現状を把握
でき、更に目指すべき先を心に据えること
ができる私淑の価値が大きい書である、

そのように思うのです。

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まとめ(「不易流行」)

今回は、『マネジメント』
(P・F・ドラッカー)
についてお伝えしました。

本書からマネジメントの基本と原則の
重要性を学びました。

「変わらざるもの、変わりえないもの」

「基本と原則」を表すこの言葉、
いい響きです。

松尾芭蕉の「不易流行」という言葉を
大事にしてきましたが、またひとつ
心に残る言葉が増えました。

私は、経営理念を語る中で、結びとして
以下の言葉を用いています。

【経理理念】

価値創造と解決提案に精進し、人々の笑み
を生み続ける社会創りに貢献する。

不易流行という言葉がありますが、営業の
進め方も昔ながらの変わらぬ本質を大事に
し、時代と共に変えるべきは変えていくこ
とがとても大切だと感じています。

本書「マネジメント」が更なる皆様の発展
に役立つものと信じてご紹介致しました。

ぜひ、本書を手元に置きながら、ご自身の
今と先を見つめる時間を確保して頂ければ
と願っています。

Best wishes.

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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