浄明正直の通史『日本国紀』百田尚樹

書評

浄明正直じょうみょうせいちょくきよく、明るく、正しく、
まっすぐ)に生きることを徳目とする
という道徳観が加味されたものが神道
といえると思います。』

これは本書『日本国紀』(百田尚樹)
の第二章に記されている言葉です。

さらに、以下のように続きます。

『神道は世界の多くの一神教のように、
他の宗教を排斥したり敵視したりする
ものではなく、そのため仏教をも受け
入れることができました。』

ここに日本人の生き方の本質、歴史、
心根を感じとることができるように
思います。

・日本人のルーツとは?
・渡来人をどう受け入れたのか?
・日本人の特質が形成された過程とは?
・植民地化を免れた本当の理由とは?
・なぜ富国強兵の道を歩んだのか?
・短期間で経済成長を成し得た理由は?
・日本が向かうべきあるべき姿とは?

年齢を重ねるにつれ、こうした思いが
深まってきます。

あらためて「通史」を学び直し、考えを
深めたい、そうした思いが心の中で育ち
始めます。

タイミングはそれぞれでしょうが、
人にはこうした思いに駆られることが
あると思うのです。その数は別として。

私の場合は、特別な人との会話の中で
こうした思いに至り、ふと、本書が
頭の中に浮かびました。

そして、早々に「せきがくの旅」が、
始まりました。

本書は、第一章~十四章と終章で
構成されています。

・第一章  古代~大和政権誕生
・第二章  飛鳥時代~奈良時代
・第三章  平安時代
・第四章  鎌倉幕府~応仁の乱
・第五章  戦国時代
・第六章  江戸時代
・第七章  幕末
・第八章  明治維新
・第九章  明治の夜明け
・第十章  世界に打って出る日本
・第十一章 大正から昭和へ
・第十二章 大東亜戦争
・第十三章 敗戦と占領
・第十四章 日本の復興
・終章   平成から令和へ

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本書で学んだ素敵な言葉

日本人の持つ独特の「忍耐強さ」、「互い
に助け合う心」、「過去を振り返らない強
さ」、「諦めのよさ」などの精神は、もし
かしたら繰り返しやってくる災害に立ち向
かってきたことで培われたのかもしれませ
ん。

私たちの性格は日本という風土が生ん
だものといえるのではないでしょうか。

以上は、本書「第六章」に記された著者の
言葉です。

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通史を学び直し、日本人の心を熟思して欲しい!

日本の歴史において、硬質の血統を継が
ない者が天皇をしいし、自らがそれに代わ
る存在になろうとした人物は皆無です。

ヨーロッパや中国大陸では、王や皇帝を
殺して権力を奪った例は、枚挙にいとま
がありません。

・日本人のルーツに大変興味があります。

アフリカをでた人類がどのような経路で
日本列島まで辿り着いたのか?

その気が遠くなるほどの長い道のりを
経ながら引き継がれた日本人の心、その
生成過程も大変気になるところです。

縄文人と現代の日本人のDNA解析による
と、古墳時代にとても多くの渡来人が訪
れたこと、そして交わっていったことが
明らかになってきました。

そして、注目すべきは、縄文人の渡来人
の受け入れ方です。そこには、古来から
の日本人の「心の持ち方」、「受け入れ
方」が注目されます。

その「受け入れる心」はどのような過程
を経て作られたのか。

そこには、地震国ならではの災害に立ち
向かう忍耐強さ、島国故の助け合う心が
影響してきたことが想像できます。

日本人には、特別な心が備わっている
ように思います。

「神道」に込められた日本人の心。

私はこの日本国の通史を通して、その生成
過程と将来のあるべき姿を追ってみたいと
心からそう感じています。

ぜひ、多くの人に知って頂きたい、
深く、深く確かめて頂きたい、
「日本人の心」を。

そう強く願っています。
日本国の未来のために。

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日本人の存在価値を重く受け止める著者の考え方

『私の心の中に、一つの「問い」が浮かん
で、消えません。それは、「もし、地球上
に日本列島がなかったならば」というもの
です。』

これは本書「日本国紀」(百田尚樹)
「あとがきにかえて」に記されている
言葉です。

もし、日本列島がなかったら、大きく
世界の地図と歴史は変わっていたこと
と思います。

それは、本書を通して「通史」を学ぶこと
で理解できると思います。

私は、とても得心できたと、
心からそう思っています。

著者は、さらに、日本という国と日本人が
果たした役割について、次のように記して
います。

『日露戦争から三十六年後、日本は大東亜
戦争で東南アジアを植民地としていた欧米
諸国をすべて追い払いました。このことが
当時の東南アジアの人々にどれだけの勇気
を与えたか想像もつきません。』

本書で通史を学ぶことによって、日本が、
日本人が世界史の中で果たした役割は、
とても大きなものであったことを理解
できます。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶継体天皇は(中略)即位してから十九年
も都に入らなかったということは、即位を
巡ってかなりの権力闘争があったことを示
唆しているようにも思われます。

❷天皇は神武天皇の男系子孫であらねばな
らないという思想が生まれたのはいつごろ
か定かではありませんが、やがてそれは国
民全体に浸透する共通概念となりそれが日
本という国のアイデンティティに繋がった
のです。

❸歴史を振り返って、今、私がつくづく思
うのは、蒙古軍が襲来した時、日本が鎌倉
政権でよかったということです。もし平氏
や源氏による政権奪取がなく、貴族の政権
が続いていたなら、はたして蒙古軍を撃退
することができたでしょうか。

❹起こってほしくないことは、起こらない
と考えようとする言霊主義は、我が国にお
いては二十一世紀の現代にも根強く残って
いるのです。

❺江戸無血開城として知られるこの事件は
日本史に燦然と輝く奇跡のような美しい出
来事です。私は、これぞ、日本だと思いま
す。恨みや怒りを超えて、日本の未来を見
ようという両者の英断があったればこその
ことだったからです。

❻ビスマルクは一行にこう語ったといわれ
ています。あなたたちは国際法の導入を議
論しているようだが、弱い国がそれを導入
したからといって権利は守られない。だか
ら日本は強い国になる必要がある。

❻戦争は、政府と軍隊と国民の三位一体で
行なわれなければならない。
(カール・フォン・クラウゼヴィッツ)

❼統帥権干犯という大問題が起きます。
統帥権とは、軍隊を指揮する最高権限の
ことをいいます。(中略)政治家は、
軍事を専門家である陸海軍に任せる代わ
りに、軍も政治に介入しないということ
です。浜口内閣は、内閣として編制大権
を輔弼したという解釈で、海軍軍縮条約
に調印したのですが、この条約に海軍の
一部が反発し、さらに野党がそれに乗っ
かる形で「統帥権の干犯」という無理矢
理な理屈で問題にしたのです。

❽日本が第三国から、通常兵器ではなく
核による攻撃を受けた場合、アメリカは
その国に対して報復核攻撃はしないとい
われています。なぜならアメリカはその
国と全面戦争になるからです。

❾世界と日本に必要なのは、戦争を起こ
させない「力」(抑止力)です。二百年
も戦争をしていないスイスですが、強大
な軍隊を持ち、男子は全員兵役義務があ
ります。スイスは永世中立を宣言してい
ますが、他国がスイスを侵略しないなど
とは考えていません。そのために常に侵
略に備えているのです。これが「国防」
というものです。

❿平成28年(2016)、自民党の安倍晋三
首相は「憲法改正を目指す」と公言しま
した。GHQから押し付けられた「日本国
憲法」が施工されて六十九年、日本の首
相として初めて「憲法改正を目指す」と
公言したのです。これは昭和30年(19
55)に自民党が誕生した時の党是であり
ました。

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本書に私淑して私が思うこと

『大国は自国に利益があると見れば国際法
を守るが、不利となればそれを破って武力
にものを言わせる。』

これは、本書の九章でで紹介されている
ビスマルクの言葉です。

これがこの時代の国際間のルールであった
ようです。ここから日本は「富国強兵」へ
の道を歩き始めたということです。

日本の通史を通して考えを深めたいと思う
論点がいくつかある中で、この富国強兵に
向かった理由は上位に位置します。

これは、日本という国土とそこに住む日本
人を守るために、弱い国であってはならな
い、強い国にならねばならないという考え
です。

既に進行している当時の世界情勢からすれ
ば、やむを得ない選択であったことは理解
できます。

しかし、どうしても私の中では、その全体
の流れを含めた思想の転換により平和を築
く選択肢を工夫すべきであったと思ってい
ます。

それは、戦争、紛争が絶えない現代におい
ても同じです。武力の背後にある肥大し過
ぎた大きな力を根絶し、正当な力作用が働
く仕組みの構築です。

兵器が供給され続けているのには理由があ
ります。本来の正されるべき方向に向かう
ことを切に願っています。

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まとめ(「通史」)

『もし日本という国がなければ二十一世紀
の世界は、今私たちが知る世界とはまるで
違ったものであったかもしれません。』

これは、本書「あとがきにかえて」に
記されている言葉です。

この言葉が意味することは、とても重要な
ことだと理解をしています。

世界が白人によって納められ、有色人種は
植民地化の中で人種差別を受け続けた世界
になっていたかもしれません。

日本人の持つ、忍耐強さ、互いに助け合う
心、過去を振り返らない強さ、諦めの良さ
等々、その特質を誇りに思います。

私は、「利他の心」を一番に意識して
ここまで生きてきました。

とても大事なことだと思っています。

そして、あらゆることの判断と行動の
指針としています。

多くの人に、日本の通史を学び、日本人に
ついて、ご自身について、考えを深めて
頂きたいと願っています。

きっと、より良い人生を過ごすための
糧に繋がると思います。

本書「日本国紀」は、お勧めの一冊です。
ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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