はじめに|がん告知から始まった心の旅
2025年8月、私は医師から「前立腺がん、ステージ4」という告知を受けました。
その瞬間、世界の色が失われ、心に冷たい風が吹き込んだ感覚を今も覚えています。
絶望と焦燥のなかで出会った一冊が『ゲーテの言葉』でした。
本の帯にある「自分の心をみつける」というフレーズに、私は強く惹かれたのです。
ゲーテとはどんな人物か
ゲーテはドイツ文学を代表する大文豪であり、詩人・劇作家・政治家・科学者と多彩な顔を持っていました。
代表作『ファウスト』に象徴されるように、人間存在の根源を問い続けた人物です。
その生涯の中で彼が残した言葉は、単なる名言集ではなく、苦悩と実践から生まれた「生き方の指針」です。
心に響いた言葉たち
「人間の可能性の限界は、自分でも知ることができない」
がん告知を受けた私は「もう何もできない」と思い込んでいました。
しかしこの言葉が、まだできることがあるかもしれないと希望を取り戻させてくれました。
「生きることは重荷だ。しかし、それを担うことに尊厳がある」
病気による制約を抱えながらも、それを受け止めて生きる姿勢こそ尊厳。そう気づかされました。
「迷うことは、生きている証である」
悩み迷うことを弱さだと責めてきました。けれども迷いは、生の証だと肯定されたのです。
「努力は限界を知ることで報われる」
無限の努力ではなく、限界を受け入れた上での努力こそが意味を持つ――心に刺さりました。
「未知のものに心を開けば、必ず道が開ける」
未来を恐れ閉じこもろうとした私に、新たな一歩を踏み出す勇気をくれました。
「もっと光を」という最期の言葉
ゲーテが臨終の床で発したとされる「もっと光を(Mehr Licht!)」という言葉。
「部屋を明るくしてほしい」という意味だけではなく、「さらなる真理を求める心」とも解釈できます。
死を前にしてなお光を求めた姿勢は、人間の尊厳そのもの。
私自身もまた「もっと光を」という言葉を胸に、残りの時間を歩もうと決意しました。
言葉が心を支える力
本書を読み進めるうちに、私の心は少しずつ変わりました。
- 絶望に覆われた心に希望の灯がともった
- 「なぜ自分が」から「どう生きるか」へと問いが変わった
- 他人ではなく、自分の心と静かに対話できるようになった
言葉には人を救う力があります。ゲーテの言葉は、まさに私の心を支える支柱になったのです。
あなたへの問いかけ
もしあなたが迷いや苦しみを抱えているなら、自分の心に耳を傾けてみてください。
「あなたの心は、いま何を語っていますか?」
その声を見つけるために、本は強力なガイドとなります。
ゲーテの言葉は、きっとあなたに“光”を与えてくれるでしょう。
まとめ|言葉は心の灯火になる
『ゲーテの言葉』は、単なる名言集ではありません。
それは、人生の試練に直面したとき、自分の心を支えてくれる灯火です。
私にとってこの本は、末期がん告知という絶望の淵で出会った「光」でした。
そして今、この光を胸に抱きながら、残された時間を誠実に生きたいと願っています。
「もっと光を」――ゲーテの最期の言葉は、私自身の生き方の指針にもなりました。
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