『人の道を照らしつづける武士道の光』
本書「武士道(新渡戸稲造)の第一章を
開くと、この言葉が鋭く深奥に飛び込ん
でくる。
そして、更に心は、次の一行に惹かれる。
『武士道は、日本の象徴である桜花に
まさるとも劣らない、日本の土壌に
固有の華である。』
日本の土壌に固有の”華”。
なにも言わず、ただただ、無の思いで
心に納めておきたい。
清澄な気分を漂わせ、燔祭の芳香を
感じさせる響きである。
「武士道」は、自分の生き方が定まった
時期に、じっくりと読み込みたいと感じ
た書籍のひとつです。
『正しいことを行う。』
私の生き方としては、生涯を通じて
この一点に尽きます。
そして、「利他の心」を大切にし、
他者に優しい自分でありたい。
この二つの思いは、これまで多くの
私淑と親炙を繰り返す中で、心の奥
に育ってきた「素の心情」です。
本書は、その過程において強い影響を
与えてくれました。
それは、勿論「良い影響」です。
「武士道」(目次)には、以下のような
テーマが連なっています。
◎武士道とは何か?
◎武士道の源を探る
◎武士道の遺産から何を学べるか?
「武士道」を読み進め、あらためて
心に留め置きたいと感じた言葉が、
2つあります。
それは、「仁」と「義」です。
孟子が残した言葉に、
『仁は人の心なり、義は人の路なり。」
があります。
私が常に心の規範として、
意識し大切にしてきた言葉です。
本書「武士道」は、新たな意味合いを
深めてくれました。
私は、決断をし、断行すべき時には、
仁と義を「心の物差し」としています。
重要事項を「判断」すべきときは、
「心の拠り所」があると良いです。
本書「武士道」をそのひとつに加えておく
ことをお勧めします。
最後は、「自分の意志」で決断する
必要があります。
そのためには、「強靭な精神力」が必要
になります。
本書「武士道」は、心の最底辺において
きっと温かく支えてくれるはずです。
本書で学んだ素敵な言葉
勇気とは、正しいことをすることである。
義を見てせざるは勇なきなり。(論語)
あらゆる種類の危険を冒し、生命を賭して
死地に臨むこと。
これはしばしば勇猛と同一視され、武器を
もつことを職業とする者にあっては、その
ような向こう見ずの行為が不当に賞賛され
ている。
シェイクスピアはそれを「勇猛の私生児」
と名づけた。
しかし、武士道は、死に値しないこと
のために死ぬことは「犬死」とされた。
自らが持つ精神力を信じてほしい
今、目の前にある問題、将来を想う中で
浮かぶ不安。
「負のイメージ」に流されて目の輝きを
失いかけてしまう時があると思います。
それは、自分ではどうしようもない
環境の変化から起きる予期せぬこと
かもしれません。
また、一段高い目標に向かって進む
中での問題かもしれません。
私も、そうした時期がありました。
最大限の努力をしていても、なかなか
解決の糸口が見つからず、心身ともに
疲れ切った状態に陥ることもあります。
そうした時には、一旦立ち止まってみる
のも良いです。
そして、もっともっと自分を信じて、
前を見て欲しいと思います。
それは、日本人としての純粋無垢な心情
が根底にあり、そして、古来伝統を受け
継いできた「大和魂」が心の中に脈々と
流れているからです。
強さと優しさと日本人らしい気品。
もっともっと本来の自分を見つめ、
自分と向き合ってほしいと思います。
思っている以上に、実は多様性があり、
深く考える事ができ、強い自分を発見、
あるいは、取り戻せるのです。
本書「武士道」は、そこに導いて
くれる書籍のひとつです。
朝の空気をいきいきとさせる日本の風土に
あって、固有に発生した自然の所産「桜」
を慕う国民の支えとして。
武士道に対する著者の思い
『宗教がないとは。いったいあなたがたは
どのようにして子孫に道徳教育を授けるの
ですか」(ベルギーの法学者)
本書「武士道」序文の冒頭、著者新渡戸
稲造がこの質問に愕然とした件がある。
そして、こんなふうに記している。
『その質問に即答できなかった。』
『なぜなら私が幼いころ学んだ人の倫た
る教訓は、学校で受けたものではなかっ
たからだ。』
『そこで私に善悪の観念をつくりださせ
たさまざまな要素を分析してみると、
そのような観念を吹き込んだものは、
武士道であったことにようやく思い
あたった。』
以上は、「武士道」が書籍として世に送り
出され経緯の一部です。
武士道を表すいくつかの言葉があります。
義・勇・仁・礼・誠、名誉、忠義等々。
それぞれに「武士道」の本質が納められて
います。
武士道についての思いは、人それぞれに
濃淡の差はあるのでしょうが、意識され
続けていると思います。
訳者の奈良本辰也氏は、解説で
以下のように記しています。
『武士道は、1つの無意識的な、抗うこと
のできない力として、日本国民およびその
一人一人を動かしてきた。
系統だてて説かれたわけではないが、武士
道は日本の活動精神、推進力であったし、
また現に今もそうである。』
私もそのように感じています。
武士道の本質を知り、賛同できることは、
学び、自分の中に取り込みたい。
そして、強靭な精神力を鍛えたいと
思っています。
著者がイメージした武士道の精神、本質、
そして、理想を本書をから学ぶことは、
人生にプラスの効果を与えてくれます。
ぜひ、時間をつくり、日本人の精神につい
て、考えてみて頂ければと思います。
では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
断章を数点引用しておきます。
【引用5選】
❶「義」武士の光輝く最高の支柱
サムライにとって裏取引や不正な行いほど
忌まわしいものはない。
義士という呼び名は、学問や技芸の路を究
めたことを意味するいかなる名前よりも優
れたものと考えられた。
四十七人の忠臣は、私たちが受けた大衆教
育では四十七人の義士として知られている
❷「仁」人の上に立つ条件
仁は、優しく、母のような徳である。
高潔な義と厳格な正義を特に男性的である
とするならば、慈愛は女性的な性質である
優しさと諭す力を備えている。
❸「大和魂」日本人の心
大和魂は、究めるところこの島国の民族精
神を表すにいたった。
大和魂は自然に生じた野生のものである。
日本の風土に固有のものである。
日本人のサクラを好む心情は、それがわが
国固有の産物である、という理由によるも
のではない。サクラの花の美しさもは気品
があること、そしてまた、優雅であること
が、他のどの花よりも「私たち日本人」の
美的感覚に訴えるのである。
美しく、かつはかなく、風のままに散って
しまうこの花、ほんのひとときの香りを放
ちつつ、永遠に消え去ってしまうこの花が
「大和魂」の典型なのであろうか。
❹「名誉心」日本の発展の原動力
私たち日本人を良かれ悪しかれ、駆り立て
たものはまぎれもなく純粋にして単純な
武士道そのものであった。
日本人の感じやすく、また激しやすい性質
は私たちの名誉観にその責任がある。
❺「武士道」不滅の教訓である
武士道は一つの独立した道徳の掟として
消滅するかもしれない。しかし、その力
はこの地上から消え去ることはない。
その武勇と文徳の教訓は解体されるかも
しれない。しかしその光と栄誉はその廃墟
を超えて蘇生するに違いない。
あの象徴たる桜の花のように、四方の風に
吹かれた後、人生を豊かにする芳香を運ん
で人間を祝福しつづけることだろう。
クエーカーの詩人は麗しい言葉で歌う。
いずこよりか知らねど近き香気に、
感謝の心を旅人は抱き、
歩みを停め、帽を脱りて、
空よりの祝福を受ける。
強靭な精神力を鍛える「武士道」に対する私の思い
私には終生こころに掛けると決めた
思いがあります。
「正しい行い」のもとに生きる
「利他の心」を大事にする
今では、この2つのことがすべての
思考と行動の規範となっています。
そして、本書「武士道」を読み進める中で
あらためて、「仁」と「義」について、
考えを深めることができました。
私は、残りの人生を賭けて2つのことを
成し遂げたいと考えています。
1つは、今後淘汰されると言われている
住宅業界において、小さな工務店を支援
していくことです。
「ひとり営業」の頼もしい相棒としての
『住宅FP営業』で、集客率と契約率を高
める研修事業を展開しています。
2つ目は、問題解決の手法としての
「合理的思考」を広めていくことです。
ビジネスの最前線で活躍している方々は
勿論、やがて社会にでていく子どもたち
にも、ぜひ知ってもらいたいと考えてい
ます。
限られた情報と期間の中で、そう時間を
かけずに解決策を見出せる思考法です。
「心の保険」になりますので。
こうした2つのことを成し遂げるために
強靭な精神力と健康な身体を作りあげる
必要があると考えています。
そこで、日々本書「武士道」に私淑し、
特殊なトレーニングを続けています。
生涯続けていくことになります。
まとめ(「強靭な精神力」)
今回は、『武士道』(新渡戸稲造)
について、お伝えしました。
日本人としての心を大事にして欲しい
と願っています。
それは、本書「武士道」の精神であり、
紹介をされてる「大和魂」であり、
日本の土壌に固有の華、桜です。
そして、「武士道」の教えの中では、
特に「仁」と「義」の心を知り、
深奥にしっかりと納めてほしいと
願っています。
「武士道」を知り、その精神を大事にし、
人生に役立てて頂く覚悟が必要なのだと
思うのです。
ひとりでも多くの人に「武士道」について
考える時間を持って欲しいと願います。
きっと身の回りの景色が変わっていく
ことでしょう。勿論プラスに!
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
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