『選択過程に息を吹き込め』
これは、本書『FBIアカデミーで教える
心理交渉術』(ハーブ・コーエン)に
記されている言葉です。
この言葉、どう響きますか?
説明がないとこの言葉が意味することを
理解できないかもしれません。
私は、この言葉を目にした瞬間、
理解ができたわけではないのですが、
その発する響きに惹かれました。
そして、その意味を追うことに
なったのです。
興味をもった言葉は、まず、自分の中で
その意味するところを想像をする習慣が
あります。
そして、まずは忠実に、その意味する
ところを辿ります。
そして、自分はどう考えるのか、
じっくりと心の奥底で確認します。
そして、行動に転化することを
生き方の原則にしています。
今回も本書から1つ、生き方に厚みを
与えてくれる言葉に出会うことができ
ました。
この言葉について著者は以下のように
記しています。
『管理人があなたに投資をし、あなたに
一体感を抱いたからだ。あなたは、選択
過程に息を吹き込んだわけだ。』
交渉相手に投資をさせて一体感を与える
ところに、交渉の原点を感じます。
通常知りえない交渉テクニックの
ひとつを知ることができ本書に
感謝をしています。
ぜひ、本書から多くの交渉の考え方と
実務としての交渉術を学んで頂きたい
と願っています。
本書は以下の章で構成されています。
・交渉に強くなる秘訣はある!
・交渉力を決める三つの要素
・合意に導く交渉スタイル
・どんな困難な交渉にも打開策がある!
本書で学んだ素敵な言葉
交渉能力とは、情報、時間、力を分析して
相手の行動に影響を与える能力のことであ
り、双方の要求をかなえて、ことを思い通
りに運ぶ能力のことだ。
本書「第一部」より
百戦錬磨の交渉技術を学んで心の保険にしてほしい!
『力とは無色透明の手段である』
これは、本書「第4章」に記されている
言葉です。
言葉の発掘を続ける私にとっては、
実に、心惹かれる言葉です。
力とは、なにを示すのか?
それが、無色透明の手段とは?
本書を読み進める中で幾度となく訪れる
先を急ぎたくなるフレーズ。
この言葉もそのひとつです。
『力とは、あるところから別のところに
移る手段だ』
著者が示すこの言葉も、実に興味深い。
自分が目指すところに導いてくれる、
それがこの力が別のところに移る手段で
あるとする真意であると理解できます。
その力を生み出すものが、本書に記されて
いる「心理交渉術」だと感じています。
交渉術を知らない為に、乗り越えられない
壁に悩んでいる人がいると思います。
心が折れるほどに悩み続けている人が
あるのだと思います。
人は心で動く、そう思っています。
そのためには、正直に正しい行いを
心がけることが基本です。
そして、そのうえで、交渉技術を身に付け
ることも、「心の保険」として大事なこと
だと思います。
本書に私淑することで、人生における問題
を解決していくための実践的な知恵を学ぶ
ことができると思います。
人生において交渉を要するシーンが絶える
ことはありません。
望ましい状態に進む為に、「心理交渉術」
を学ばれることをお勧めします。
百戦錬磨の交渉実績を持つ著者の考え方
『人を説得しようと思ったら、自分のいっ
ていることが相手の要望とどんな関係があ
りどんなふうに大切かをわからせるよう説
明すればよい。』
これは、本書「FBIアカデミーで教える
心理交渉術」に記された言葉です。
交渉の場において、とても大事な進め方で
あると感じます。
著者は、次の表現でこのテクニックを
実に端的に伝えてくれます。
『要望に応えているかどうかだけが問題』
過去の交渉シーンを振り返ってみると
実に得心の行く言葉に感じます。
著者は、ひとつの事例として、広告業に
関する性質を記しています。
『広告業は行動を起こす動機を与えるのが
商売だが、現在の要望を満たすという動機
を使って、見込客をひきつけている。』
真の交渉のテーブルにつけるかどうかは、
要望に応えることができるかどうかに
かかっているのだと思います。
そこから双方の利益を得るために、
どう交渉を進めて行けば良いかが
見えてくると思います。
本書は、多くの実例を通して交渉技術を
伝えてくれています。
ぜひ、何度も読み返して、新たな気づきを
学んで頂ければと願っています。
では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。
本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。
【引用5選】
❶勝ち目と損失の大きさを計算する
賢く危険をおかすには、勝ち目を計算に
いれることである。
明らかに、後退する危険性は、前進する
ための必要経費である。
❷頑張ってこそ事は成る
一つのものに留まることを覚えるのだ。
ねばり強くなくてはならない。
カーター大統領はねばり強く、がんとして
動かなかった。ひどく頑固だった。
❸交渉者双方がともに勝利できる道がある
相手を倒すのではなく、問題を倒すことに
焦点を合わす。
人間は元来まったく同じ人がいるはずがな
いから、ふつうはあなたの要望と私の要望
は同一ではない。
だからこそ、二人とも勝利を手にすること
ができるのだ。
❹交渉相手に人間性をアピールする
心の奥底では、ほとんどの人は、自分の
幸福は他人の幸福と結びついていること
がわかっている。
隣人を侮辱すれば、自分への侮辱として
はね返ってくる。
❺目標達成への最短距離は何かを考える
管理人が相当量の時間をあたなにつぎ込む
あいだに、あなたは自分のまわりの状況を
詳しく説明し、管理人に私事を打ち明け、
助言を仰ぐとよい。
あなたは名簿のトップに躍り出るだろう。
管理人があなたに投資し、あなたに一体感
を抱いたからだ。選択過程に息を吹き込ん
だわけだ。
本書に私淑して私が思うこと
『交渉を協力して成功させるには、相手の
真の要求を見い出し、それを満たす方法を
考えると同時に、自分の欲しい物を手に入
れることである。』
これは、本書「意見の一致点・相違点をみ
きわめる三つの便法」に記されている内容
です。
これこそが、「交渉の原点」であると
心から感じています。
まずは、相手の「真の要求」を確認しなけ
ればならない。
しかし、それはそう簡単にはいかない。
それには、2つの理由があると思って
います。
1つは、「確認していない」だけのことで
あれば、確認すればよい。
その際は、直接本人の顔を見ながら言葉で
確認すべきである。
しかし、場合によっては、文書のやりとり
が望ましいことがある。
相手の思いを想像し、穏やかに、真意を
確認すべきときには、一方通行の文書の
やりとりが良い。
それは、大きな相違がすでに表れていると
感情面で感じるときである。
そして、2つ目は、相手が「真の要求」を
示さない、あるいは、示せない事情を抱え
ている場合です。
その場合は、まず直接話をするのではなく
文書で相手の考えを確認すべき質問し、
文書で返すよう求めます。
そのうえで、強い信念と「最後まで決して
相手を見捨てない」覚悟を持って、
「相手の懐」に入っていくしかない
そう考えていますし、私は、
実際そう行動をしてきました。
本書では、以下の言葉が記されています。
『対立は、避けることができない人生の
一部だ。互いに正反対の目標を目指して
いる人もいる。だが、目指す物が同じ時
でも、しばしば起こっている。』
実に、重みのある実体験に基づく言葉
です。共感できます。
互いの論点がどの変に位置しているのか、
どこで意見の不一致が起きているのかを
探る必要があるという著者の考えは、私
の思いと同じです。
私は、「なにが問題かがわかれば、
それは、もう問題ではない。」と
思っています。
互いの相違点がわかれば、原因を究明して
互いの限界利益を守れるように、その閾値
を心ゆくまで話し合えば良い。
そのためには、互いの信頼関係が必然
である。
「相手を決して見捨てない」という
強い思いがあることが大前提です。
そこにしか、真の意味の
「ウィン・ウィンの交渉」は、
成り立たない、
これが、私の「交渉論」です。
本書は、さらに交渉技術を究めるための
教えが満載です。
一つひとつ、ご自身の交渉に対する考え方
と照らし合わせながら読み進めて頂ければ
と願っています。
きっと、新たな発見があると思います。
考え方をさらに前に進めていけると
思います。私がそうであったように。
まとめ(「心理交渉術」)
今回は、『FBIアカデミーで教える
心理交渉術』(ハーブ・コーエン)
についてお伝えしました。
本書を読み終えて感じたことは、
交渉は、経験、情報、立場を共有しながら
互いの要求を重ねあげることが、やはり、
大原則であるということでした。
交渉は、生きるために欠かせない
技術です。
交渉によって、仕事、私生活等々、
あらゆる人生の問題の多くは、
解決できるのです。
「心の保険」として、本書からも
多くの事を学んで頂きたいと思います。
私は、多くの問題は、人との関係と、
交渉等の考え方で解決できると思って
います。
問題解決の手段の一つとして、交渉技術は
必要です。
生涯学んでいく努力を続けて頂ければと
思っています。
そして、大事なことは、
それでもどうしても解決できない時は、
「人としての最後の力」を使って良い
と思っています。
それは、「助けて下さい」です。
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
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