胸奥に沁みる『名言の知恵・人生の知恵』

書評

『青春とは人生の或る期間を言うのでは
なく心の様相を言うのだ。(中略)
年を重ねただけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いがくる。』

これは本書『名言の知恵・人生の知恵』
(谷沢永一)で紹介されているサムエル・
ウルマン
の詩です。

とても勇気づけられる詩です。

「理想を追う心の様相」
この言葉に惹かれて、私の
「せきがくの旅」は始まりました。

「青春」
私の中では胸がワクワク、ドキドキ
している状態であれば、それは
「青春の時」だと思っています。

追い続けていたいもの、強く求めるものが
ある限り、それは、青春だと思うのです。

この詩はそうした思いを伝え、そして
支えてくれているように思うのです。

その思いの根源は、出会い。

懇意に思える人がいる。
常に考えていたいという人がいる、
夢がある。

そうした思いがある限りは、
青春の時。

そう感じるのです。

そして、今私はそのときにあります。
そうあることに感謝です。

今こうしてあることを辿っていくと、
そこには、私淑と親炙がありました。

「読書」は、「つながり」という縁を
築いてくれたように感じています。

そして、深く胸奥に染み入る時を
過ごさせてくれたように思います。

今回は、おすすめの書籍として
「名言の知恵・人生の知恵」を
ご紹介したいと思います。

本書は、以下の6章で構成されています。

・美しく生きる
・充実して生きる
・人の上に立つ
・心のやすらぎを得る
・人生の深奥を味わう
・社会人として、仕事人として

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本書で学んだ素敵な言葉

意中有人

私淑できる人物を、あるいは、理想的
人物像を心の中にもっている。

(本書「第2章」六中観より)

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古典に感慨と感銘を求める著者の考え方

『名句のひとつひとつが、すぐさまお役に
立つとは言えないまでも、あれこれの名句
に接することによって、読者の胸奥に深く
浅く、なんらかの感慨と感銘が生じるであ
ろう。』

これは本書「まえがき」に記されている
著者の言葉です。

著者は、こうも言っています。

『思いぞ屈する時という状態は、私どもの
日常に決して珍しくない。大なり小なり
思案にあまるという心境は、誰しも覚えが
あるところだろう。』

「思いぞ屈する時」

どうにも考えがまとまらない。
誰かに頼りたいが、気軽に
相談できる内容でもない。

最終責任者にとっては、こうした思いが
日々続くことも多いと思います。

私もそうですので、その気持ちは、
とてもよくわかります。

名著、古典の私淑によって
救われるのです。

ときには、親炙に至ることも
あるでしょう。

よき書物との出会いは、貴重です。

私は、多くの良き機会を得ることができた
と思っています。本書もそのひとつです。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶自分の本来の顔で生きる
(ラ・ロシュフコー)

人それぞれ、境遇と才能にふさわしい顔が
ある。その顔をやめてほかの顔をすれば必
ず失敗する。自分にとって自然な顔を心得
て、それを置き忘れず、できるだけよい顔
にしようと努めなければならない。

❷君ができる限り
(ジョン・ウェズリー

君ができるすべての善を行え、
君ができるすべての手段で、
君ができるすべての方法で、
君ができるすべての場所で、
君ができるすべての時に、
君ができるすべての人に、
君ができる限り

❸己に克つ
(西郷隆盛)

己に克つための鍵は、論語にあるように
「当て推量をしない。無理押しをしない。
固執しない。我を通さない。」ことだ。

❹ゆく河の流れは絶えずして
(鴨長明)

ゆく河の流れは絶えずして、しかも
もとの水にあらず。

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ
結びて、久しくとどまりたる例なし。

❺上善は水の如し
(老子)

上善は水の如し。水善く万物を利して
争わず。衆人の悪む所にる。

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本書に私淑して私が思うこと

本書に私淑し、非常に多くの
「珠玉のことば」を学び得ました。

読み終えた今、静かに目を閉じ、
今回の「せきがくの旅」を振り返ると、

やはり「ゲーテの言葉」が、最も重々しく
私の深奥に折り重なっている
と、そう感じるのです。

その重なりのひと葉、ひと葉を
記して見ます。

・人間は内面から生きなければならない。

・否定からは、何も生まれてこない。

・詩の内容は、自分の生命に他ならない。

・詩ができたなら、必ず自分に尋ねて
 みたまえ。それが体験を含んでいるか、
 その体験によって自分が進歩したか、

 と。

自分の内面から沸々と湧き出るものを
感じるようにと、そう諭してくれている
ように感じるのです。

それを「うずき」と称して。

静かに、自らを省みる「自己省察」を
すすめてくれています。

その先にあるのが、意慾であるとも。

そして、生きているとは、意慾をもって
いることである、と。

「前進する生命を信じて」

このゲーテの言葉、
生涯考え続けていきたい、
常にわが身に充て添えながら、

と、そのように、思うのです。

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まとめ(「古典」)

『書物とは、古典とは、それらは現代人の
心にふれて、そこから何かを生み出す為の
科学の世界で言う触媒なのである。』

これは、本書「まえがき」に記されている
著者の言葉です。

実に、得心の行く言葉です。

私が書物に向き合う理由は、2つ。

一つは、何かの解決の手立てを求めて、
そして、もうひとつは、安らぎを求めて。

何れも心の彷徨いを支えてくれることを
期待しています。そして、なにかを生み
出す触媒としての働きを求めてもいます。

自分で探し求めた書物です。
多くを期待し、その触媒としての働きに
頼って良いと思うのです。

本書は、「人生を進める」のに、
とても良い、おすすめの「書物」です。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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