行動鉄則『貞観政要の読み方』

書評

『書物の諫議大夫かんぎたいふの言葉を聞くことが
必要であろう』

これは、本書『貞観政要の読み方』
(山本七平)の第1章に記されている
言葉です。

「諫議大夫」という言葉はご存知ですか?

私は、本書を手にするまで知らなかった
言葉です。

しかし、その意味するところは、
永年意識してきたことであり、

私にとっては、なくてはならない
存在です。

こうした人材は、逸材であり、
通常は、なかなか得られるものでは
ないでしょう。

しかし、私にとっては、
とても必要な存在なのです。

我が性格、性質上。

ありがたいことに、私には、
一人だけその人材がいます。

そのおかげで、今があるといっても
過言ではありません。

本書は、唐の太宗(李世民)の治世
から学ぶ価値ある貴重な教えです。

それは、現代においても、いや、
現代だからこそ必要な書といえる、
そのように感じています。

ぜひ、手に取り、いつも手元において
頂きたい書のひとつです。

人生は、人との関わりの中で歩む道
であり、それゆえ、希望も困難も
人との関りによって生じてきます。

創業と守成について、おおいに
「貞観政要」に学んで頂ければと
思います。

本書に出会い、こうした思いの中、
私の「せきがくの旅」は始まりました。

本書は、10の章で構成されています。

・いま、なぜ貞観政要なのか
・兼聴 情報を吸い上げる
・十思・九徳 身に付けるべき心構え
・上書 全態感を捨てる
・六正・六邪 人材を見分ける基本
・実需 虚栄心を捨てる
・義と志 忘れてはならなぬ部下の心構え
・自制 縁故・情実人事を廃する
・仁孝 後継者の条件
・徳行 指導者に求められるもの 

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本書で学んだ素敵な言葉

草創(創業)と守文(守成)と孰れが難き

(本書「はしがき」より)

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太宗の治世を願う著者の考え

『太宗の美点は、自己の欠点をよく知り、
諫臣の言葉をよく入れて、改めるべき
ことは速やかに改め~』

これは、本書「1章」に記された
内容です。

実に、立派な対応といえます。

さらに、続きます。

『その直言を少しも怒らず、
感情を害することもなく、
逆に特別ボーナスを出した』

この太宗の特質から、唐の長期政権が
成りたったことが容易に推測できます。

◉貞観政要を概要としてまとめると、
以下の5つになると、本書解説で
守屋洋氏が記しています。

とてもわかりやすいので、以下に
記しておきます。

◆安きに居りて危うきを思う

◆率先垂範、わが身を正す

◆臣下の諫言に耳を傾ける

◆自己コントロールに徹する

◆態度は謙虚、発言は慎重に

それでは、本書の中で私が特に興味を
惹かれた箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶経営者がなさねばならぬ仕事は学ぶこと
ができる。しかし、経営者が学び得ないが
どうしても身につけていなければならない
資質が一つある。

それは天才的才能ではなく、実は、
その人の品性なのである。

❷広い天下にはあらゆる問題があり、それ
が千変万化するのだから、それに応じてこ
ちらも変化して対応すべきなのだ。

❸魏徴は説苑の六正・六邪を援用する。
聖臣、良臣、忠臣、智臣、貞臣、直臣
具臣、臣、姦臣、讒臣、賊臣、亡国の臣

❹法は、国家の大信を天下に布く所以
なり。言は、喜怒の発する所なるのみ。

❺危機の時は、だれでも、判断を誤れば
直接身に危険が及ぶという気になるから
必死になって意見をいう。

だが平和の時は、不知不識のうちに、
命が危うくなるわけでもないという
のが前提になっている。

だが、部下が激論してはじめて問題の
焦点が明らかになる。

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本書に私淑して私が思うこと

「貞観」とは、唐王朝の二代目、太宗
(李世民)の年号である。こういえば、
「貞観の治」という言葉を思い出される
人がいるかもしれない。

「政要」とは政治の要諦という意味で
あって、貞観の治をもたらした政治の
要諦、これが署名の由来になっている。

私は、本書のこの箇所を目にして、
即決で手元に置くことに決めました。

まだ独立する前のことですので、随分と時
は経ちますが、その時の本書との出会いの
瞬間はよく覚えています。

物事は人によって動く、そう実感して、
ここまでの人生を歩んできたように思い
ます。

公私ともに問題が生じ、また解決していく
のも「人」によるのだと、つくづく思うの
です。

良き人材に恵まれれば、どのような難解な
プロジェクトもこなしていけると感じて
きました。

しかし、良きときも、そうなきときも
ありました。

それなりに対処をしてきましたが、
人の見分け方は、実に難しいものです。

「貞観政要」に記された創業と守成の別、
その向かい方、対処の仕方等々、学ぶべき
ことが多く記されています。

私も前者の人間だと認識していますが、
後者を続けねばなりません。

事業ですので。

その難しさから良書を求め、私淑と親炙を
繰り返し、ひとつの結論を見い出していま
す。

次の機会にお伝えしたいと思いますが、
それは、「サテライト経営」です。

ぜひ、本書を一読されて、ご自身の人生の
向かい方を見つめ直す時間を持たれること
をお勧めします。

きっと、「解」を得、「自信」を再確認
できることと思います。

お勧めの一冊です。

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まとめ(行動鉄則)

行動には、鉄則があります。

それをいつ、いかなる手段で得るかは
人それぞれ。

しかし、人生においては、必ずその人
にとって、望ましいタイミングで、
その出会いはあると思います。

多く人と会い、読書をして、多くの考え方
を学び、自ら考え、行動する。

大きな目標を持つほど、問題が生じる
可能性は高まります。

しかし、良き人と書物に出会い、良き行動
の規範を得られれば、可能性は飛躍的に
高まっていきます。

本書もその一冊になることを
願っています。

ぜひ、本書と共に「せきがくの旅」を
はじめてみて頂ければと願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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