『宇宙の始まりは、世の中のすべての疑問
が凝縮するところとも言えるでしょう。』
これは、『宇宙はどうして始まったか』
(松原隆彦)の「まえがき」に記されて
いる言葉です。
「ビッグバン」という言葉を知ったのは、
いつの頃だったろうか。
その後、それが起きる前が気になり、
「インフレーション理論」を知ることに。
しかし、では、その前はどうだったのか?
ずっと気になっていました。
皆さんも、きっと宇宙の起源が気になって
いることと思います。
・ラプラスの悪魔
・一般相対性理論
・素粒子論
・量子重力理論
・マルチバース理論
・宇宙創成論、等々
多くの理論が発表されてきましたが、
やはり、宇宙の起源について、明確に
論証はされてはいません。
過去においては、いや現代においても
説明がつかないことは、神に委ねると
いう考え方があります。
本書は、宇宙の起源と言う壮大なテーマに
ついて、何がわかっていて何がわかってい
ないのか、複雑な現状が紹介されています。
本書の最大の特徴は、一切数式を使って
いないということです。
言葉だけで、今の現状と将来について、
宇宙を語ってくれています。
求めていた「答え」には辿り着けず、最終
240頁を閉じることになりましたが、その
時間は大変有意義なものとなりました。
古典物理学から最新のマルチバース理論に
至るまで、多くの基本的な知識を深める
ことができました。
宇宙の始まりの前、あるいは、宇宙の外の
空間という定義は、宇宙を超越したもので
あり、それを「無」と呼んでいる。
こうしたこれまでに接したことのない
考え方に、興味は深まるばかりです。
こうした思いの中、
私の「せきがくの旅」は始まりました。
本書は、6つの章で構成されています。
・この宇宙には始まりがある
・無からの宇宙創成論
・量子論と宇宙論
・相対論と宇宙論
・素粒子論と宇宙論
・宇宙の始まりに答えはあるのか
本書で学んだ素敵な言葉
宇宙の始まりに原因があるとすれば、それ
は時間や空間を超越したところにある。
(本書「6章」より)
虚心坦懐に宇宙を探る著者の考え
『常識的な思考では決して解けない謎が、
宇宙の始まりです。』
これは、本書「あとがき」に記された
内容です。
とても印象的であり、また専門的な知識が
なくとも得心の行く言葉です。
さらに次の言葉も、
ぜひ、心に留め置きたい言葉です。
『先入観を乗り越えて宇宙の真実を明らか
にするには、虚心坦懐に宇宙を見つめて
いくしかありません。』
本書の頁を捲る都度、これまで知ることの
なかった考え方や可能性が著者の口から
語られていきます。
なにか日常を越えた世界観に、時の経過を
忘れて、どんどん惹きこまれていきます。
ビッグバン理論よりも前のインフレーショ
ン理論や代替理論の存在を知ること等々、
興味は尽きません。
「宇宙全体が量子ゆらぎになる」
という言葉の意味は、大変興味深く
感じました。(94頁)
それでは、本書の中で私が特に興味を
惹かれた箇所を引用しておきます。
◉本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。
【引用5選】
❶ビッグバン理論については、観測的な
手がかりも豊富であり、私たちはビッグ
バンが確実にあったと言える。
だが、ビッグバンをもたらしたものが何か
という問題になると、現状での観測的な
情報はかなり限られていると言わざるを
得ない。
❷無からの宇宙創世の後にインフレーショ
ン期を経てビッグバン宇宙になるという
筋書きだ。だが、この筋書きにはかなりの
憶測が含まれている。
❸現在の宇宙の状態をすべて知ることが
できれば、未来のことはすべて予言できる
ことになる。このようにして未来のことを
すべて予言できる仮想的な知性のことを
「ラプラスの悪魔」という。
❹素粒子に働く力として、全部で4種類の
力が知られている。それは、電磁気力、
弱い力、強い力、重力の4つだ。重力を
除く3種類の力は、すべて場の量子論の
枠組みで取り扱える。ところが重力だけが
量子論では扱えない。量子重力理論が
不可欠となるだろう。
❺宇宙全体があるのかないのか、はっきり
しない状態というのは宇宙全体が量子ゆら
ぎになってしまっていることを意味する。
「無」」というのは、このように宇宙全体
が量子ゆらぎになっている状態ということ
ができる。決して何もない状態ではない。
宇宙が生まれたのか、生まれていないのか
どちらとも言えない量子的状態ということ
だ。
「無」という状態には、私たちが考える
普通の意味での時間は流れていないこと
になる。
本書に私淑して私が思うこと
ビッグバン理論を知り、その起因となった
インフレーション理論を知り、しかし、
その前がわからない。
こうした思いが私の中にずっと興味として
ありました。
本書に出会い、量子ゆらぎ、ストリング
理論、マルチバース理論、宇宙創成論等々
宇宙の始まりに関する考え方の概要を知り
ました。
非常に高度な理解力が必要な分野ですので
おおまかな概要を知るレベルではあります
が、少し視界が広がったように感じます。
本書を通して得たものは、専門分野が
異なっていても、問題解決への向かい方、
楽しみ方を学べたことです。
今何がわかっていて、
何がわかっていないのか、
過去のわかっていることから、
未知のことで類推できることはないのか、
新たに創造すべきことはなにか、等々。
お勧めしたい一冊です。
まとめ(量子ゆらぎ)
『私たちの宇宙を超越したところに
何があるか』
これは、本書「第6章」に記されて
いる言葉です。
『宇宙の始まりに原因があるとすれば、
それは時間や空間を超越したところに
ある。』
そして、この言葉の意味を知りたくて、
本書を手にしました。
宇宙の始まりの前、あるいは、
宇宙の外の空間という表現が記されて
います。
その領域に考えを進めると益々、
謎は深まっていきます。
しかし、その探求の進め方を知り、
学ぶことには、とても大きな意味がある
と感じています。
「未知のもの」に挑戦することは、
とても魅力的であり、生きている証を
感じることでもあるように思うのです。
ぜひ、多くの方にとって、非日常的な
「宇宙の始まり」について、
本書により「せきがくの旅」を
はじめてみて頂ければと願っています。
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
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