第3話:約束 ― 痛みを封じて記すということ
前立腺癌の告知を受けたその日、自分との約束を決めました。
「痛い」と口に出さない。
この戦いにおいて、痛みは避けられないだろう。
けれど、その辛さは声にせず、静かにノートに綴っていこう。
そして、勝利か、敗北か。
いずれであってもこの戦いを終えるときに、はじめて「痛かった」と一言だけ言おう、と。
人は、絶望の淵に立ったとき、どんな思いに至るのか――。
それは、当事者でなければわからない。
今、私もその淵に立ち、ようやくその感情を知ることができました。
それでも私は信じています。
癌は消せる。希望はある。
この小さな灯火を胸に、一歩ずつ歩んでいきます。
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