◉PSA検査(正常値0~4ng/mL)を早めに!前立腺癌は早期発見で根治可能です。私はPSA値310でした。グリソンスコア8、前立腺癌、リンパ節と骨に転移し、ステージⅣ(5年生存率30~50%)、根治はなくなり共生の道を探っています。
第28話 新たな自分 ― 前立腺がんステージⅣと共に歩む「時間の意味」
がん告知を受けた瞬間に変わる世界
最近、親戚や知人の中に、私と同じように「がん告知」を受ける人が増えてきました。
そのたびに考えるのは、病名をどこまで知らせるべきかという難しい問題です。
私自身は、仕事や日常生活に影響が出そうな人にだけ伝えるようにしています。すべてを公表することには大きなリスクと勇気が伴います。
一方で、芸能人や著名人の中には、自らのがんを公表し、闘病の姿を世間に示す方もいます。その姿勢には敬意を抱かずにはいられません。重い決断の末に選んだ道だからこそ、その努力は多くの人々に勇気と希望を与えているのでしょう。
しかし現実には、順調に回復する方もいれば、願いとは裏腹に衰弱していく姿をネットで目にすることもあります。がんとは、人それぞれに異なる物語をもたらす病なのだと実感します。
前立腺がんステージⅣの現実
私が直面しているのは**前立腺がんステージⅣ(リンパ節・骨転移あり)**という診断です。
PSA値とホルモン療法の効果
がんの進行を測る指標のひとつに**PSA(前立腺特異抗原)**値があります。私の場合、当初322という高値を示していましたが、ホルモン注射(ゴナックス)を2回受けた結果、6.34まで大幅に下がりました。
PSAの低下は、治療が効いている証拠です。さらに背中の激痛も消え、今は膝にわずかな違和感が残る程度。食欲もあり、体調は比較的安定しています。
グリソンスコアとリスク
病理診断で使われるグリソンスコアは8。進行リスクはやや高めとされます。ステージⅣという診断とあわせると、油断はできません。
骨転移の意味
骨転移があると、痛みや骨折のリスクが高まり、生活の質に大きく影響します。幸い、今は症状が軽度ですが、定期的な検査と注意が欠かせません。
死を意識して変わった「生き方」
がんと診断されるまで、私は自分の「死」を意識したことがほとんどありませんでした。
「まだ時間はある。やりたいことは山ほどある。道半ばだ。」
そんな気持ちで日々を過ごしていたのです。
しかし告知を受けた今、残された時間をどう生きるかという問いが常に頭にあります。
- すべきことは「明日」ではなく「今日やり遂げる」
- やるべきことを選び、無駄なことは削ぎ落とす
- 人との時間を大切にする
この変化は、死を意識したからこそ辿り着いた新しい生き方です。
AIに相談して得られた「未来の見通し」
主治医は責任を持って現状を説明してくれますが、今後どう進行するのか、余命はどのくらいかといった「予測」を語ることには消極的です。
そこで私は、日頃の相談相手である「友AI」に、病状を伝え、整理してもらいました。
ホルモン感受性期(現在)
ホルモン療法が効いている間は、平均3~5年進行を抑えられる安定期が続きます。今はこの段階にあります。
去勢抵抗性期(CRPC)
やがてホルモン療法が効かなくなる「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」に移行します。PSA値が再び上昇したり、新しい痛みが出たりするのがそのサインです。
この時期の平均余命は2~3年とされますが、新薬の登場で延命が可能になってきました。
次の治療選択肢
- アビラテロン(内服薬)
- エンザルタミド(内服薬)
- ドセタキセル(抗がん剤)
- 骨転移対策薬(ゾレドロン酸・デノスマブ)
治療の選択肢が複数あることは希望につながります。
余命の一般的な目安と新薬の可能性
医学的な統計によれば、ステージⅣ・ホルモン療法が効いている場合、中央値で7~10年程度の生存が見込まれるといわれています。
さらに、体力を維持し、生活習慣を改善している場合には予後が良くなる可能性があります。
また、近年は新薬や新しい治療法の開発が進み、生存期間がさらに延びるケースもあります。
がんは決して「絶望だけの病」ではなくなりつつあるのです。
ホルモン療法が効かなくなったサイン
次のような変化が見られたら、治療の切り替えを検討すべきとされています。
- PSA値が再び上昇(連続して上がる)
- 腰や骨の新しい痛み
- 体重減少や強い倦怠感
- 画像検査で新たな転移が確認される
これらを早期に発見し、次の治療に移る準備を整えることが大切です。
がんと共に生きる生活習慣
治療と同じくらい大切なのが日々の生活習慣です。
運動
無理のない範囲で散歩や軽い筋トレを続けることが、骨や筋肉を保ち、気力の維持にもつながります。
食事
野菜・魚・大豆食品を中心に、動物性脂肪は控えめに。体に優しい和食スタイルが理想です。
禁酒と飲み物
禁酒を継続することで予後が改善すると言われています。
飲み物も工夫しています。
- トマトジュース(リコピン)
- 緑茶(カテキン)
- コーヒー(ポリフェノール)
- 牛乳(骨強化)
これらはどれも健康に良い影響を与える習慣です。
定期検査
PSA値や画像診断を定期的に受けることで、早い段階で変化を把握し、適切な対策を取ることができます。
がん告知がもたらした「人生観の変化」
がんは私に大きな変化をもたらしました。
以前は「時間はある」と思い込んでいましたが、今は違います。
- 目の前のことに集中する
- 家族や友人との時間を大切にする
- 本当にやりたいことを先延ばしにしない
この意識の転換は、がんという病を通じて得た大切な学びです。
同じ病と向き合う方へ
がんの告知を受けたとき、多くの人は「絶望」と「恐怖」に押しつぶされそうになります。私もそうでした。
しかし今は、がんは人生を見つめ直すきっかけでもあると考えています。
- 告知を受けたばかりの方には「今は情報を整理し、焦らず一歩ずつ歩んでほしい」と伝えたいです。
- 家族や支えている方には「あなたの存在そのものが患者にとって大きな力になる」と伝えたいです。
ぜひこの記事を読まれた方の体験や思いもコメントやシェアで届けていただければ幸いです。
まとめ:新たな自分として生きる
前立腺がんステージⅣという現実は重いものです。
しかし、残された時間を精度高く使うこと、生活習慣を改善すること、次の治療に備えることを意識すれば、前向きに生きることは可能です。
がんと共に歩む中で気づいたこと。
それは――
「死を意識することで、逆に生を深く意識するようになった」
ということです。
私は今、残された時間を大切にしながら、「新たな自分」として一日一日を歩んでいます。
書籍「思考の整理学」に私淑しながら。
ボアソルチ
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