強健な心身づくりを諦観『自分を鍛える』

書評

『この本と出合わなかったら、今の自分
はないという本がある』

本書『自分を鍛える』(ジョン・トッド)
の黄色表紙を捲ると、真っ先にこの言葉が
目に飛び込んできます。

また一冊、良い本との出会いを感じた瞬間
を思い出します。

訳者(渡部昇一)の思いが、次にように
綴られています。

『この本には、頭(知力)の鍛え方、
いい生活習慣づくりの方法、そして
強健な心身づくりのヒントなど、

素朴でありながら強力、しかもどこを
参考にしても必ず読者に好結果を与える
という、実に結構ずくめの知恵が具体的
に示されているのである。』

人生を歩む中で、純粋に「学びたい!」
と思うタイミングが、幾度か訪れると
思います。

私は、社会にでる前の学生の頃に、
その1回目があったと記憶しています。

当時工学部に在籍していましたが、
その専門知識とは別のなにかを求めて
いたように思います。

今思うと、知力、体力、精神力を鍛えたい
そうした思いが強かったのだと思います。

もう少し掘り下げた言い方をするとすれば
心身を鍛える方法を学びたいということ、
そのように思い出されます。

この思いは、これまで人生の岐路に立つ度
感じてきたことです。

本書は、私のこうした期待をしっかりと
受け止めてくれましたし、今でもそれは
続いています。

そして、歳を重ねるごとに、
捲る頁の教えは、異なった響きを伴って
私の深奥深く、降りていきます。

それまでの経験と混合し、
考えをより正しい方向に導いてくれる
そんなふうに感じています。

人生の中で、数回で良いと思います。
じっくりと本書と向き合う時間を
持つことをお勧めしています。

より人生が良い方向に拓けていく、
そう実感している自分を感じることが
できると思います。

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本書で学んだ素敵な言葉

『自分にはいったい何ができないのかを
心得ていることは、できることを心得て
いることと同様、きわめて大切なことで
ある。』

他人の知性にふれることによって自分の
知性が磨かれたり、頭脳がいっそう明晰
になったりするだけでなく、鍛えられ、
自分の能力に関して謙虚になれるので
ある。

高度の学識とすぐれた頭脳を持った人々
に少なからず出会うことになるだろう。

(ジョン・トッドの言葉より)

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強健な心身づくりを繰り返し学んでほしい

心身を鍛える術をぜひ、繰り返し
学んでほしい!

そう強く願っています。

人生に幾度か訪れる大事な時期には、
じっくりと本書と向き合うことで、
しっかりとした足取りで歩ける。

次のステージを自信を持って、
どうどうと歩いて行けるようになる。

そう、思うのです。

それは、本書を都度か読み返しながら
今に至っている私の心からの思いに
よるものです。

経験によってものごとの感じ方、
考え方は変わる。

自分と周りも変わっていく。

心身を鍛えるプロセスを重視したい。

私は、ずっとその思いで生きてきました。

もうそう多くはない残された時間、
その思いは、おそらく変わることなく
続いていくことと思います。

時代の進化と共にプロセスも
変わっていきます。

その時々の経験とその時の自分の感性
を大事にしたいのです。

成長の源となるのですから。

心身を鍛えるプロセスとその方法論を
ぜひ、本書から学んでほしい。

そして、まだ知らぬ人々にしっかりと
伝えて欲しい。

社会人は勿論、やがて社会にでていく
学生たちにも。

心と身体を鍛える為には、その知識は
もとより、それを習得する為の方法を
学ぶことが重要です。

本書は、具体的な手法を題材にして、
理想的な状態に導いてくれます。

読んでおくと、必ず「得をする」本
であると訳者も熱く語っています。

ぜひ、一読されてみることを
お勧めします。

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洞察力を重視する著者の考え

『人間の本質を学ぶようにしなさい。』

この著者の言葉が、深く心の奥に残って
います。

この言葉を追うように以下の言葉が、
添えられています。

『学業を終えた時に、人間の本質を見抜く
深く透徹した洞察力身につけていないとし
たら、それは本人の責任か、あるいは教師
たちの責任である。』

こうした言葉群から、著者が洞察力を大変
重要視していることがわかります。

私は、本書から非常に重要なことを学びま
した。それは今でもビジネスの交渉の場で
活かされています。

以下にその幾つかを記します。

『これこれの場合、人はこういった行動
に出るはずだと非常に的確な判断を下す。

しかしながら、この点では彼らの結論は
正確であっても、まだ人の行動の動機を
把握していないし本当にものを学ぶ人間
ほどには人の心を深く洞察することもで
きない。』


如何に「洞察力」を身に付けることが、
重要であるかを切々と語っています。

『真に教養のある人の恐るべき洞察力』
という表現が強く印象付けます。

著者は、次のように記しています。

『彼らは、時代や流行といった外的状況に
よって変わることのない、人間の奥深い
本質的な原理を究めようとしている。

だからこそ、教養ある人はしばしば人の
心を貫き通すような矢を放つのであり、
一方、教養のない人はただ空しく弓の音
を響かせるばかりなのである。』

心から諒解できる内容です。

では、著者が提示し続ける「知恵」の中で
私が特に興味を惹かれた断章を数点、引用
しておきます。

【引用5選】

❶忍耐強い楽天家であれ

忍耐力は注意力と同類の力である。
だから、忍耐力のない人の頭脳は
鍛えられているとは言えない。

忍耐強く努力し研究することこそ、
成果をあげるのに不可欠な条件で
あるばかりではなく、確実にそれを
保証してくれるものである。

❷自分の頭で考える

自分で考えたり行動したりすることを
学ぶようにしなさい。

真の独創性とは、ものごとを立派に自分
なりのやり方で行う事である。

中途半端に教育された人間は概して
人まねをしがちである。

❸使えば使うほど回転が良くなる頭脳

「学ぶこと」のもう一つの目的は、判断力
を養うことである。それは、頭脳がもの事
を探求できるようにするばかりではなく、
単なる意見にすぎないものと裏付けのある
学説を比較検討できるようにするためであ
る。

❹心の猛獣を自由に扱える人

自分の感情を抑制できる人こそ本物の英雄
なのである。

男らしい心を養うことである。隠しだてを
せず率直な人間になることである。

それも、他人の目にそう見えるというだけ
ではなく、事実、そうあらねばならない。

❺刃は冷たいほどよく切れる

どんなに大声で怒りを爆発させたくとも、
完全に冷静を保ちなさい。

挑発に対して冷静に立ち向かう人のほうが
必ず仲間の支持や尊敬を集めるものだ。

論争は通常、自分の意見を強く押し出し、
勝利をめざして争われるものであり、仲間
の間で行われるべきものではない。

考えや意見を対話によって交換し合えると
いうことほど、人間に与えられた素晴らし
い贈り物は他にないのだ。

言葉ににじみ出る感情は、多かれ少なかれ
他の人に影響を与える。

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「強健な心身づくり」に対する私の思い

『自分の頭で考える』

理想的な未来を築くために、最も重要な
ことであると思っています。

私が抱くイメージを少し綴ってみます。

向かうべき先、実現したいことを定める
ために考え、行動し、私淑ししゅく親炙しんしゃを繰り
返してきました。

そして、今は到達点が定まっています。

日々の行動や人との出会いの中で、
微調整を行いながら到達点に向かって
歩んでいます。

目標達成のために、細分化した課題を
解決していきますが、そのプロセスは、
以下の流れで進めています。

限られた情報と時間の中で期限をもって
先人が残した結果を探し、参考にします。

先人が残した経験と成果は、大いに参考に
させてもらって良いのだと考えています。

参考にできるものがない場合、
そこで、始めて「自分の頭で考える」
行為に入ります。

その際に必要になるのが、
本ブログのテーマである
「強健な心身づくり」です。

忍耐強くあらねばならない、
判断力を養わなければならない、
考える技術を習得しなければならない、

こうした条件を整えるために、本書は
大変力強い味方になってくれます。

ものごとの本質を理解できるように
なります。

達成すべき目標は、自分自身で定め、
そして、実現に向けて課題を整理する。

逞しく課題を解決していくために、
「強健な心身づくり」に挑む。

その際には、本書「自分を鍛える!」が
支えとなってくれます。

ぜひ、手元において、目標達成の羅針盤
として活用して頂ければと思います。

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まとめ(「洞察力」)

今回は、『自分を鍛える』(ジョン・
トッド)について、お伝えしました。

著者は、「洞察力」を身に付ける必要性を
繰り返し述べています。

そして、「人間の本質」を学ぶことを非常
に重要視しています。

人間の「行動」を予測できる能力は、
大変素晴らしいものです。

しかし、著者は、その先のことを見据えて
いるように思います。

行動の「動機」を把握すること、そして、
人の心を深く洞察することが非常に重要
であるといいます。

心のひだの奥底にひそむ人間の本質を
学ぶ必要があると、本書は教えてくれ
ます。

本書を手元に置き、人生の到達点を
目指して頂くことを願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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