物事の本質に迫る『学問のすすめ』

書評

『本筋を見つけてきちんと通していく力が
彼にはありました。』

これは、本書「学問のすすめ」の著者
福沢諭吉に関して、訳者(齋藤孝)が
表したイメージです。

私は、こうした生き方にとても惹かれ
ます。「物事の本質」を押さえること
を常に意識して生きてきました。

如何なる問題もこのことができれば、
多くが解決できると心から信じ、
そのための努力を続けてきました。

本書を読むきっかけは、ある経済団体
の会合に出席した際に勧められた書籍
3冊の中の1つでした。

『天は人の上に人を造らず、人の下に
人を造らず』

本書は、この有名な言葉で始まります。

読み進める中で、その言葉が示す先に
ある、いつまでも心に留まる「教え」
に接することになりました。

それは、おそらくは読み手によって、
響き方、留まり方はことなるのだと
思います。

私にとっては、「物事の本質」について
思いを深めることができた大変価値ある
「せきがくの旅」となりました。

お勧めの一冊です!

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本書で学んだ素敵な言葉

福澤の場合は、いつも胸襟を開いて、
まっすぐ人の前に立って、自分の意見
をクリアに言う。


(本書「解説」訳者の言葉より)

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重責を担い「問題解決」の日々を過ごす方へ

『多くの人は事の難易度と時間のかかり方
を計算しない』

これは、本書の第14編「人生設計の
技術」に記されていることばです。

事業を推進する上では、多くの予期せぬ
問題に見舞われることが多いと思います。

目標が大きいほど、予期せぬことの発生
頻度も多くなることと思います。

大事なことは、一つひとつの個々の問題を
如何に捌いていくかだと思います。

こ考え方は、重要度と緊急度、更には、
その問題の拡大傾向を考慮し処置をして
いくというものです。

私は、この「合理的思考」に支えられて
多くの問題を処理してきました。

本書に記された著者の上記の言葉は、
「合理的思考」を進めるうえで、
心に留め置くべき教えとして、
私の中では受け止めています。

まずは、本書の目次に目を通し、気になる
編から読み進めて頂きたいと思います。

私は、以下の5つの編でした。

初編   学問には目的がある
第12編 品格を高める
第14編 人生設計の技術
第15編 判断力の鍛え方
第16編 正しい実行力をつける

「学問のすすめ」は、明治13年に出版
されたものですが、現代のビジネスに
大変役立つ貴重な書籍であると感じます。

ぜひ、本書から良き人生をおくるうえで
必要な「物事の本質」を知る知恵を学ん
で頂きたいと願っています。

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「物事の本質」に迫る気概を諭す著者の考え

『今は自分たちが社会に参加していると
いう意識を持ちにくい時代です。

のような社会では、「気概」を持つ
ことは非常に難しい。』

これは、本書解説で訳者が述べている
言葉です。

そのうえで、訳者は著者福沢諭吉について
次のように記しています。

『福澤は、「衣食住を得るだけでは蟻と同
じ」とバッサリ斬っています。また「独立
の気概のない者は、必ず人に頼るようにな
りその人を恐れ、へつらうようになる」と
も言っています。』

問題を解決するためには、「物事の本質」
に迫る必要があります。

その為には、気概が必要であると著者は
一途にそう諭しているように感じます。

訳者は、本書で語られている著者の考え
をこんなふうに表現しています。

『気概とは、単に根性を指すのではなく、
きちんとやるべきことが見えていて、
そこに全精力をかけていきたいという
明確な思いのことです。』

さらに、表現は続きます。

『この本を読めば、必ずや方向性を見出し
て、気概というものが身に満ちるのを感じ
られるはずです。』

実に、得心できる表現です。

多くの人に、この「身に満ちる』という
状態を体感して頂きたいと思います。

「気概」をもって、「物事の本質」に迫る
覚悟を身に付けて頂きたい、とそう願って
います。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

ぜひ、本書に綴られた考え方を知り、自分
はどう考え、どう行動に活すのかを、ぜひ
考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶学問には目的がある

事実を押さえて、物事の性質を客観的に
見極め、物事の道理をつかまえて、いま
現在必要な目的を達成すべきである。

学問をするには、なすべきを知ることが
大事である。

才能や人間性を身に付けるには、物事の
筋道を知る必要がある。

❷品格を高める

物事のようすを比較して、上を目指し、
決して自己満足をしないようにすること
である。

こちらの全体と、あちらの全体を並べて、
それぞれのいいところと悪いところを
あまさず見なくてはならない。

❸人生設計の技術

人生という商売は、十歳前後の人間らしい
心ができたときからはじめたものであるか
ら、普段から知性や人格、事業の帳簿を精
密につけて、損失がでないように心がけて
いなければならない。

自分自身の有様を明らかにして、今後の方
針を立てるものは、知性と徳と仕事の棚卸
しなのだ。

❹判断力の鍛え方

信じることには偽りが多く、疑うことには
真理が多い。

疑いという道を通って真理の奥に到達した
のだ。

信じる、疑うということについては、取捨
選択のための判断力が必要なのだ。

学問というのは、この判断力を確立するた
めにあるのではないだろうか。

❺正しい実行力をつける

議論と実行とは、少しも齟齬しないよう、
間違いなくバランスを取らなければいけな
いのだ。

人間の心は、高尚でなければならない。
心が高尚でなければ、働きも高尚には
ならないものである。

時と場所柄をわきまえて、その規則に
したがうのが、すなわち心の賢さとい
うことになる。

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「学問のすすめ」に私淑して私が思うこと

私は、本書から2つのことを学びました。

一つは、「わかっていることの本質を
クリアにして伝える」
ということ。

そして、二つ目は、「物事の本質を掴み、
一番大事なところだけを取り出して見せ
る」
ということです。

何れも、福沢諭吉の生き方そのものです。

私は、セミナー、研修の講師を生業と
しています。

この二つの学びは、私の仕事の幅を大きく
広げてくれたように感じています。

長い期間、問題解決をテーマとした
コンサル事業に取り組んできました。

「なにが問題かがわかれば、それは、
もう問題ではない!」

これは、私が心の中でいつも唱えている
ことです。すべての行動の原点でもあり
ます。

問題を明らかにするためには、問題の本質
に辿り着く必要があります。

そのための思案、判断、行動に関しての
秘術と覚悟を知り得ることができました。

本書「学問のすすめ」は、読み手が目指す
先の険しさ、そして、立場と経験によって
得る内容は異なるはずです。

今、一番気になっていることを起点として
心が誘われる章から、じっくりと読み進め
てみることをお勧めします。

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まとめ(「物事の本質」)

今回は『学問のすすめ』
(福沢諭吉:訳者齋藤孝)について
お伝えしました。

「物事の本質」に迫るために、
なんとしても身につけたいと思うこと、
それは、「筋力すじりょく」です。

本書「解説」に次の表記があります。

『論理的であることが、今の世の中では
求められています。

福澤は極めて論理的でありながら、それ
以上の力を持っていました。

それを、「筋力」と呼んでいるのですが、
本筋を見つけてきちんと通していく力が
彼にはありました。』

「物事の本質」に迫るために、この筋力を
身に付けなければならない、

本書を読み終えて、以降そう自分に
言い聞かせています。

それは、とても素直な気持ちから、
そう思っています。

さっそく、目次を捲ってみて頂ければ
と思います。

あなたも、ぜひ、この思いを共有して
頂ければと願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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