第8話:生検当日―揺れる時を越えて、眠りにつく夜
本来、18時からの予定だった生検が、急遽3時間早まり、15時には手術室へ向かうことになった。まだ気持ちの整理がついていなかった私は、戸惑いながらも、その流れに逆らう理由もなく受け入れた。
手術室に入るのは、35年前、腕の骨折で腰の骨を移植した全身麻酔の手術以来のことだった。
生検の説明は受けていたものの、実際に何をされるのか、詳細までは把握しておらず、不安が募っていく。
さらに、部分麻酔の針がうまく刺さらず、看護師や医師が代わる代わる対応してようやく処置が始まった。
ズボンと下着を下ろされ、脚を開いた状態で、前立腺から検査用の組織を採取しているようだ。直接は見えないため、具体的な状況はわからない。ただ、幸いにも麻酔針の痛み以外は感じなかった。
生検そのものは30分ほどで終了し、病室に戻ったあとは、止血と抗生剤の点滴を受けた。
高熱や血尿、血便の可能性があると聞かされていたが、今のところそのような症状はなく、ここまでは順調だ。
現在、夜の22時18分。背中の痛みも和らいでおり、体調も良好。
あとは、明日の朝まで、痛みもなくゆっくり眠れることを祈るのみ。
医師や看護師の皆さんの丁寧な処置と、あたたかい心遣いに感謝しながら、静かに眠りにつこうと思う。
ベッドの枕元には、トルストイの人生論。少しだけ私淑をしてから!
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