第13話:確定 根治は叶わずとも希望は捨てない
前立腺癌の根治は叶わない。ならば、こう考えよう。
老年男性の7割が患う病であり、私はそれを早期に知ることができた。
共に生きる道を選び、これからを設計すればいい。
ただし、治療には費用がかかる。安定した収入源を確保することに力を注ごう。
本日、担当医師より生検の結果説明を受けた。
診断は「前立腺癌 確定」、加えてリンパ節への転移あり。
これにより、手術による根治は不可能となった。
今後は、月1回のホルモン注射による抑制治療が基本となる。
本日さっそく皮下注射を2本接種。夜間に高熱が出る可能性が高いという。
薬剤は「ゴナックス皮下注」。
GnRHアンタゴニストとして、下垂体のホルモン分泌を抑え、
結果的に前立腺癌の成長を抑制する治療法だ。
骨への転移はこれまでの検査では確認されていない。
10日後にRI検査を行い、再度治療方針を見直すこととなった。
高額医療制度の手続きも調べねばならない。
同時に、生命保険の保障内容や請求方法も確認しておきたい。
心のどこかで根治を期待していたが、それは叶わなかった。
これから、この身体と、背中の痛み、そしてこの心は、どれだけ持つのか。
統計は、現実を突きつけてくる。
5年生存率は30〜50%。
最大で5年——。
重く、静かな数字だ。だが、今は受け止めるしかない。
まずは、現状をしっかりと把握しよう。
forward(前に!)
書籍「大河の一滴」(五木寛之)と親鸞の教えにに私淑しながら
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