処世の知恵『老子(道徳経)』

書評

『玄の又玄、衆妙の門』

これは、『老子』(老子道徳経)の
第1章に記されている言葉です。

奥深いうえにも奥深いものから、あらゆる
微妙なものが生まれてくる。

実に得心の行く意味深い意訳である。

本書の表紙裏面には、老子の特徴として
以下の記述が記されています。

熾烈しれつな戦国時代を生き抜く処世の知恵で
あり一種の統治理論であるが、同時に、
世の中と人間について深い洞察力によって
人生の教科書ともいうべき普遍性をもって
いる。

変化が激しく、多様性が求められる現代の
ビジネスの世界において、逞しく生き抜く
ために、ぜひ私淑すべき書と考えます。

本質的なものの捉え方を習得すべく、
本書とともに「せきがくの旅」を始めて
頂ければと願っています。

本書は、第八十一章の章立てで構成
されています。

八十一は、陽の数の極限である九を
自乗した、めでたい数を意味している
とのことです。

老子は、「老子道徳経」と言われる
ように、「道」の思想と「徳」の思想
が中心となっています。

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本書で学んだ素敵な言葉

いにしえの博大真人はくだいしんじん

博大とは、広大な徳のことであり、
真人とは、道を体得し、道が身体中に
充満しているような、充実した人物の
ことである。


~老子はそう位置づけられている。~

(本書「解説」より)

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常無有を根本概念にもつ著者(老子)の考え

『之を建つるに常無有じょうむゆうを以てし、之を
つかさどるに太一たいいつを以てし、濡弱謙下じゅじゃくけんかを以て
表と為し、空虚にして万物をそこなわざる
を以て実と為す』

常無有を根本的な概念とする。

外面的には水のように柔弱にして謙虚、
内面的には自己を空虚にして人々とも
物事とも抗わない。

老子の思想が荘重に伝わってきます。

本書から老子の「道」の思想と「徳」の
思想について、理解を深めて頂ければと
思います。

それでは、本書の中で私が特に興味を
惹かれた箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶目を凝らしても見えないもの、それを
微という。耳を澄ましても聞こえないもの
それを希という。撫でさすっても捉えられ
ないもの、それを夷という。この三者は、
突き詰めることができない。だから混ぜ
合わせて一にしておく。

❷聖人は、いつでもうまく人々が活動でき
るようにするから、人々は見捨てられるこ
とがない。

いつでもうまく物事が活かされるようにす
るから、物事は見捨てられることがない。

このことを、道を知る明知めいちにしたがう、
という。

❸支配者に誠実さが足らなければ、人民
から信用されないものだ。

❹道は永遠に名を持たない。道の喩となる
あらきというものは、たとえ小さくても世の中
で誰も支配できるものはいない。

❺知恵によって国を治めれば国が損なわれ
知恵によらないで国を治めれば国が豊かに
なる。この二つのこと弁えることは、国を
治める法則である。

いつでもこの法則を弁えていることを玄徳
(奥深い徳)というのだ。

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本書に私淑して私が思うこと

『常に欲無くして以て其の妙を観る』

老子の「道の思想」の中にあるこの言葉が
その深奥なる思想が、私の心の奥深くに
折り重なっていきました。

爾来生き方の原点の1つをなしています。

老子のいう「欲」の否定とは客観的立場に
立つことを意味するといいます。

わが身のおかれている状況を把握し、
立場を認識し、いかに行動すべきかを
常に考えることが習慣化されました。

老子の「道」の思想、「徳」の思想を
心に留め置き、次の2つの記述を反芻
しています。

道は、いっさいの現象の根底にある
永遠に存在する実在であり、天地
自然の摂理ともいうべきもである。

人と世界とをすべて関連させながら
究極的には天地自然の世界に帰って
いくものである。

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まとめ(処世の知恵)

老子の方は、世の中から一歩身を引いて
個人の内面的な充実を求めたり、あるい
は自然的世界について洞察する面が際立
っている。

これは、本書「あとがき」に記されて
いる言葉です。

さらに、こう続きます。

老子は、処世の知恵として、時代や
地域の成約をこえて、人々の心に直接
働きかける力をもっている。

読み進めるなかで、自然に日々の自分の
考えや行動に照らし合わせることができ、
共感、反省に導いてくれます。

読み終えてみて、最も心に残った言葉、
私の中では、「謙虚さ」でした。

残された人生を歩む中で、まだまだ
多くの事を満たしてくれるような、
とても貴重な言葉に思えたのです。

ぜひ、一読されて、読後感を味わって
頂きたい、そのように願っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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