【癌克服奮闘記26】死を見つめる!心の揺らぎを越えて 余命

健康人生研究

◉PSA検査(正常値0~4ng/mL)を早めに!前立腺癌は早期発見で根治可能です。私はPSA値310でした。グリソンスコア8、前立腺癌、リンパ節と骨に転移し、ステージⅣ(5年生存率30~50%)、根治はなくなり共生の道を探っています。

第26話:余命――静かな覚悟と知への旅

『リンパ節と骨に転移していますので、ステージは4です。』

医師からそう告げられた日のことを、今でもはっきりと覚えている。

検査の過程で前立腺がんであることは覚悟していた。しかし、いざ告知を受けると、想像以上の絶望感が重くのしかかってきた。
その時は、背中の激痛に耐えることで精一杯で、気持ちを整理する余裕はなかった。

確定診断は大きな衝撃だったが、同時に「痛みの原因がわかった」という安堵もあった。治療によって、この長く続いた苦しみから解放されるかもしれない――その期待に心は向かっていた。

やがてホルモン治療が始まり、背中の痛みが和らぐと、今度は「余命」という言葉が頭から離れなくなった。

『5年生存率30〜50%』。自分に示された数字は、限られた命の可能性を突きつけてきた。

亡くなった父も、がんだった。最期の2週間、毎日病院に通ったときの、まだやりたいことがあると涙した父の姿が脳裏によみがえる。
義理の父は元特攻隊員だった。知覧の基地から飛び立つ寸前、終戦を迎えて命をつないだ。しかし、出撃命令を受けた瞬間、どれほどの覚悟を抱いていたのだろうか。義父もまた、がんで父と同じ年に亡くなった。

自分の命の限りを知らされたとき、人はどんな思いを抱くのか。
希望を失い覇気をなくす人もいれば、残りの人生を有意義にと前向きになる人もいる。それは人それぞれであり、当事者になって初めてわかることだろう。

私の場合は、痛みが治まったことで冷静に考えられるようになった。
そして今思うことは、ただ一つ――「学びたい」ということだ。

それは「読書」をしたいという思いに集約される。
ヘーゲルの『精神現象学』、マルクスの『資本論』、三木清の『人生論』、トーマス・マンの『魔の山』、ヘルマン・ヘッセの『雲』、トルストイ『戦争と平和』、ドストエフスキー『罪と罰』……。
もう一度読み返したい書物は数えきれない。さらに、インフレーション、ダークマター、ダークエネルギー、マルチバースなど、未知の知にも触れてみたい。

知識を得ることはもちろん、そこから生まれる楽しさや達成感を味わいたい。
時間の許す限り、『せきがくの旅』を続けていきたい。

――心は、ただひたすらに前を向いている。

書籍『ヘルマン・ヘッセ雲』を手元に置きながら!

#前立腺癌 #癌克服 #闘病記 #希望の記録 #癌と向き合う

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