『利して之を誘い、乱して之を取り、
実にして之に備え、~其の不意に出づ』
これは、『孫子の兵法』(田口佳史)の
「第一講」に記されている言葉です。
「人間通」になることの重要性を
伝えています。
「人生戦略」を伝えています。
実に得心の行く言葉といえます。
具体的には、
相手が何を望んでいるかがわかれば、
相手をリードできる
そう伝えています。
「なにが問題かがわかれば、それは
もう問題ではない!」
いつの頃からかわたしは、そう思って
きました。
なにか、それに近い感覚を
覚える言葉です。
孫子は、自分が優位に立って、
思うように事を運べるような
人間関係をつくるよう諭しています。
本書を読み進める中で、早々
「計篇」に記されたこの教えに、
心が留まりました。
こうした思いの中
私の「せきがくの旅」は始まりました。
本書は、13の講義で構成されています。
以下に、私の中で最も記憶に残った
5つの講義を記しておきます。
・計篇 最後に勝つ人は
「この戦い方」を知っている
・作戦篇 これからの時代を
生き抜くためにの「武器」を持て
・謀攻篇 「戦わずして勝つ」
これが「孫子」の鉄則
・九変篇 いつ、何が起きても
「動じない人」になる極意
・勝者と敗者を分ける
「人生行路の歩き方」
本書で学んだ素敵な言葉
自分は勝つと信じている人間ほど、
強い者はいない。
(本書「第1講 計篇」より)
人生戦略を唱え続けた著者の考え
『いつでも来い。そんなものに負ける自分
ではない。』と、言える自分をつくること
が、実は幸せへの一番の近道なのです。
これは、本書「はじめに」に記された著者
の言葉です。人生戦略の言葉です。
強くなってほしい、いかなるものにも
打ち勝つ強者になってほしい。
そうした著者の強い願いが
込められています。
老子、論語、四書(大学・論語・孟子・
中庸)五経(易経・書経・詩経・礼記・
春秋)、墨子、孫子・呉子・六韜・三略
宋学、陽明学等々、
長きに渡り、中国古典と向き合い、
その教えを伝え続けてきた著者の
強い思いに感銘を受けます。
それでは、本書の中で私が特に興味を
惹かれた箇所を引用しておきます。
◉本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。
【引用5選】
❶道・天・地・将・法の五つの視点で、
勝利のシミュレーションを描くべし
❷自らの得意分野の実力を磨き上げ、
他人が放っておけない人間になること
が大事なのです。
❸凡そ戦いは正を以て合う、奇を以て
勝つ。多彩な能力を持ち、自在に組み
合わせて発揮する準備が求められる。
❹諦めない人が最後には勝つ。
どんな状況でも柔軟に対応し、終わりの
ない戦いをするように仕事をしてきた。
それが「あきらめなかった」という言葉
の本当の意味です。
❺ものは勢いだ。堰き止められた水が、
やがて岩をも押し流す勢いを持つように
力を最大限に溜めて、ここぞの時に勢い
よく力を発揮するのがよい。
本書に私淑して私が思うこと
経営アドバイザーとして携わったクライ
アント数は、二千社に達すると思います。
これは、本書の「はじめに」に記された
著者の言葉です。
こうした実績のもとで、人生戦略の元、
「孫子」が語られています。
「孫子」が現代においても、しっかりと
活かされていることを実に説得力のある
筆致で示されています。
「孫子」の教えを現代の企業や官公庁に
務める人々に伝え、アドバイスをされて
きた実績から素直に実感できます。
私には、その功績が、実感として
とてもよく理解できるのです。
それは、私自身が二百社の研修事業を実施
してきたという経験があるからです。
二千社という実績は、大きな説得力が
あります。
「孫子」は経験することで理解が深まって
いくものであるというのが、私の理解する
ところです。
本書を通して、特に心に残ったのは、
「凡そ戦いは正を以て合う、奇を以て
勝つ」です。
万全の準備を尽くし、そのうえで
奇策を用いることで勝ちに至ると
理解をしています。
事業計画、商談、事業の推進、等々
如何なることにも準備に万全を尽く
します。
将来問題の洗い出しを可能な限り
行います。
そして、将来問題を発生確率と影響度から
分析し、問題が起きない対策と起きた時の
対策に分けて準備をします。
これが私の事業の進め方ですが、
そこに「孫子」の教えは、多方面から
アドバイスを与えてくれます。
お勧めしたい一冊です。
まとめ(人生戦略)
幸せになって欲しい。
愉快な人生を生きて欲しい。
そのためには、何をどのように
したらいいか。
「孫子の兵法」という比類なき人生戦略の
書を借りてメッセージを伝えるのが最適
ではないか。
以上は、本書「はじめに」に記された
著者の言葉です。
この言葉に惹かれました。
「書」は、「人生」を導いてくれます。
いかなる「書」を頼りに、人生を歩むか。
その判断のひとつが、著者が示す
幸せに、愉快になって欲しいと願う姿。
そのように感じるのです。
いつでも、傍に、傍らに置いて読みたい
「書」があると、いいですね。
本書は、きっとそうした中の
一冊になると思うのです。
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
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