考えるヒント『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』

書評

『優れた発想とは自然から生まれるもの
なのだ』

これは、本書『人間はいろいろな問題に
ついてどう考えていけば良いのか』
(森博嗣)に記されている著者の言葉
です。

さらに、深く心に残るこんな言葉が
記されています。

『考える庭を造る』

仕事柄多くの問題解決に携わっている身と
しては、解決に向かう勇気が湧いてくる
とても嬉しい「知恵の源泉」です。

発想、解決に日々取り組む方々には、
ぜひ手元に置いて欲しい一冊です。

本書は以下の章で構成されています。

・「具体」から「抽象」へ
・人間関係を抽象的に捉える
・抽象的な考え方を育てるには
・抽象的に生きる楽しさ
・考える「庭」を作る

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本書で学んだ素敵な言葉

研究というのは、どんな行為なのか、
なくてはならないのは、

やはり思いつくこと。

すべては、発想に起点がある。
時間にすれば、ほんの一瞬のことだ

本書「抽象的に生きる楽しさ」より

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ときには、ほっとできる心の拠り所に縋ってほしい!

問題を解決する行為は、とても大変な
取り組みです。

自らの問題はもちろん、自分を取り巻く
まわりには、日々問題が生じてきます。

状況の報告を受けて現状を把握する。
それが問題であれば原因を究明し、
解決策を考える。

さらにその解決策で生じる将来問題を
想定し、問題が起きないような予防策
と起きたときの発生時対策を考え、
対処を指示する。

私はこれまでこうした動きを
長きに渡って行ってきました。

最適な解決策というのは、論理的な思考
に加えて、発想力が必要になります。

論理的思考は学ぶことで身に付けること
ができると考えています。

なぜなら、過去に解決事例があるため、
そのロジックを分析すれば思考過程を
形にできるように思うからです。

しかし、発想力は未来を考えることであり
過去の事例だけでは、解決できる良き手法
は生み出せないように感じています。

しかし、問題の解決には、
「発想力」が必須です。

本書に示されている「抽象的思考」が、
発想力を身に付けるために、とても
重要な役割を果たすことを学びました。

そして、本書からとても印象的な
考え方を知りました。

それが、『考える庭を造る』です。

ぜひ、この意味を考えながら著者の
考えを辿って頂ければと思います。

日々、問題解決に取り組んでいる方に
とって、きっと「心の保険」になると
思います。

私がそうであったように。

お勧めの一冊です。

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考えるヒントを与えてくれる著者の考え方

『多くの人に、個人としてバランスの取れ
た冷静な人間になってもらいたい。』

これは、本書「まえがき」に語られている
著者の思いです。

さらに、その真意は次のように続きます。

『その人の品格も上がるだろうし、そう
いう人が増えれば、自然に社会の品格も
向上するだろう。それは結果的に、人類
の平和に繋がるはずである。』

実に奥深い考え方であると感じています。

著者は、本書において、「抽象的思考」
の重要性を重ねて述べています。

この「抽象的思考」の定義については、
以下のように記されています。

『抽象的に考えるということは、簡単に
言えば、ものごとの本質を掴むことで、
見かけのものに惑わされることなく、
大事なことはどこにあるのかを探すよう
な思考になる。』

実に得心の行く定義といえます。

さらに、次のような事例的な解説も
述べられています。

『例えば、他の事例にも役立つこと、
あるいは、細かい雑事を除いた

大雑把な傾向のことだ。』

そして、抽象的に考えることが如何に重要
であるかについて、わかりやすく記されて
います。

私は、論理的思考については、随分
長い時間をかけて学び、実践をして
きました。

多くの問題を解決してきた経験から、
そう時間をかけずに、解決策を
イメージできるようになりました。

しかし、同時に「発想」の力を強化
する方法について、悩みながら、
考えることを続けていました。

将来問題を想定するためには、
この「発想」の力がどうしても
必要だったからです。

そうした時に本書に出会いました。
本当に「ご縁」なのだと思いました。

解決のために一身に悩み、考え続けて
いると良い「ご縁」に助けられるのだ
という、これは実体験です。

ぜひ、本書から多くを学んで頂きたい
と心から願っています。

本書は、かならずその期待に応えて
くれると確信をしています。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶似たような状況がほかにもないか

常に学び、沢山のことに気付くことで、
知性はどんどん成長し、もちろん常に
修正されていく。

生きていることの価値とは、この変化
にあるといっても過言ではない。

❷無意識に拘ってストレスになる

ストレスの主原因というのは、自分の
思い込みだなという考えに至った。

できるだけ拘らないようにしようという
抽象的な目標を自分の一番高いところに
掲げることした。

❸発想だけで解ける問題も珍しい

発想だけですぐに答えに到達できる問題は
非常に珍しい。このような発想系の問題を
「エレガントな問題」と呼ぶ。

❹頭の中に自分の庭を作る

論理というものも人工的なもので、計算も
推論も人工だ。これらは、人間が考えると
おりになる。つまり理想を追求できる。

発想は、自然から生まれるものだから
ままならない。

❺もうちょっと考えよう

大事なことは、「もうちょっと考えよう」
という一言に尽きる。

どんな可能性があるのか、何が起こり
うるのか、ということを想像しなけれ
ばならない。

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本書に私淑して私が思うこと

「上手くいかないよ」と言われたことに
挑戦をして、結果的に一人前の研究者に
なれたのだ。

これは、本書「思考空間を彷徨う
トリップ」の章に記された著者の
言葉です。

とても印象に残る言葉として、今も私の
心にしっかりと残っている言葉です。

「新しいもの」を開発する際は、
なかなか他の人の同意を得ることが
難しいということを感じています。

「これは絶対にいける!」

そう思い、話をしてみる。

すると、それは、以前に考えた、
あるいは、やっている、

または、もう近しいことをやっている
ので、それの必要性は感じていない、

等々、がっかりする言葉が返って
くるのです。

今考えている、進めようとしていること
の本質が理解されないまま、勘違いを
含め賛同を得ることはとても少ない。

そうなると、結果を出して理解させるしか
他に方法はない。

それは、とても孤独なことだと感じて
います。寂しさを伴います。

しかし、考えを進めるしかない。

こうした思いで、「新たなもの」を
開発してきました。

著者のしめす、「上手くいかないよ」と
言われたことに挑戦をして結果を出した
という言葉が、とても、とても私の中で
心に沁みる言葉となっているのです。

さて、「新たなもの」を開発することは
とても孤独なことです。しかし、進める
必要があります。

本書には、「考える庭を造る」という
著者の考え方が綴られています。

とても、勇気を貰えます。

私と同じように孤独な日々を送っている
方でしたら、ぜひ、ゆっくりと著者の心
を感じながら「発想」を組み立てて頂け
ればと願っています。

生涯孤独ということはないはずです。

結果を出し続ければ、きっと、こころ
から考えを共有できる人に巡り合える、
と、そう思うのです。

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まとめ(「考えるヒント」)

今回は、『人間はいろいろな問題について
どう考えれば良いのか』(森博嗣)
についてお伝えしました。

私が本書を手にした理由は、著者の示す
『考える庭を造る』という考え方が、
とても気になったからです。

そして、「新たなもの」を開発する際に
必須となる「発想力」を磨くヒントが
綴られているように感じたからです。

「発想」ということに悩み、生み出す
手法を追いかけ、そして、本書に出会い
なにかをつかめたような思いです。

しかし、まだそれは答えではない。

本書にあるように、「考え続けていく」
ことでしかないという思いが生じた段階
なのです。

ただ、明らかに言えることは、
成長できたという自覚です。

「発想」に対して、「楽しむ」という
余裕が生まれたように感じています。

ぜひ、著者が織りなす「エレガント」な
考え方を体感してみて頂きたい、
そのように思っています。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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