VIVAって知った櫻井家と不思議な魅力を放つ俳優『文・堺雅人』

書評

『堺雅人は鞄に原稿を書くための道具を
入れて、持ち歩いている。』

これは、本書『文・堺雅人』(堺雅人)
の裏表紙に記されている言葉です。

俳優堺雅人を表わす姿の一つであるように
感じます。

この本を手にしたのは、今話題のドラマ
「VIVANT」の主人公を演じる俳優堺雅人
の圧倒的な存在感に惹かれたからです。

当初は警視庁公安部捜査官役の阿部寛の陰
に隠れてしまう、そんなどこか頼りない姿
を感じさせるイメージでした。

しかし、その後突然「迫力の顔」に転じ、
テレビ画面を飛び出し迫ってくるほどの
「姿顔」を放出したのです。

いったいその変貌は、どこからくるのか?
もともと持っている彼本来の姿とは?

そんな思いが頭を離れないまま、いつもの
習慣で訪れた書店で、偶然本書に遭遇。

その瞬間、堺雅人という俳優を追うことに
躊躇ためらいはありませんでした。

そして、もうひとつドラマ「VIVANT」
から受けた影響は、櫻井家。

島根県人でありながら、これまで一度も
訪ねたことのない奥出雲の可部屋集成館
と櫻井家。

「VIVANT」5話を見た翌日、どうしても
見てみたいものがあり、朝から車を走ら
せました。

現地で半日を過ごして、櫻井家と、
そして俳優堺雅人への興味は
いっそう深まることになりました。

本書は以下の一文字の章で構成された
エッセイと対談で構成されています。

・髭
・絆
・学
・教
・品、等々

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本書で学んだ素敵な言葉

怒れる風体にせん時は、柔らかなる心を
忘るべからず。

(はげしく動く演技のときにはやわらか
な心を忘れてはならぬ。)

世阿弥の「風姿花伝」より

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自然と人が突然放つ存在感を感じてほしい!

「今自分は、この目の前の現実に惹かれて
いる」と感じたことはないだろうか。

それが、自然の雄大さであったり、
あるいは、人の魅力であったり、
そうした経験をお持ちではないだろうか。

私は、これまでの人生の中で、幾度か、
そうした経験があります。

その対象にどんどん引き込まれていく、
そんな感じがするのです。

そして、気がつくと、ひとまわり自分を
広げることができたように感じるのです。

その都度「刺激」を受けることは、
とても大事なことだと感じるのです。

ドラマ「VIVANT」から、
櫻井家日本庭園と俳優堺雅人の
魅力を辿って頂ければと思います。

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不思議な魅力を放つ俳優堺雅人のルーツを追う

『変化とは、痛みをともなうものなのだ』

これは、本書「春」の章に記された
著者の言葉です。

俳優堺雅人の「存在感」のルーツを探り
たい、そんな思いからの「せきがくの旅」
です。

その手掛かりとなる言葉のひとつである
ように感じました。

「存在感」とは、なんであろう、
それも、ずば抜けた「存在感」。

それは、単なる印象の二面性から感じる
濃薄だけではないように思える。

「変化とは、痛みをともなうもの」

この意味するところは、本人に確認しなけ
れば本当のところはわからないのですが、
なにか「信念」の変革とでもいうような
強い思いを感じるのです。

その積み重ねによって滲み出る存在感、
しかも、一瞬のうちに、それを表に
出せる磨かれた技。職人芸です。

役者という職業は想像できる範囲外の
領域ですが、私の講師人生においての
人前での姿の切替とどこか似たところ
を感じるのです。

人前に出た瞬間に自分の変化を感じます。
それは、顔つきと振る舞い方の切替です。

私の場合は、スーツに着替えるタイミン
グで少しづつ、それは訪れます。

最後にカフスと時計の整いを確認したら
意識とは別のところで、熱く一声を発し
ているようです。

本書の中で著者が語る以下の言葉も
とても気になります。

『殺されることは絶対にないことを
知っている俳優には、運命の出会い
なんて訪れないだろう。』

いつも真剣であることの重要性、
重さを感じます。

本書を読み進めていくなかで、
俳優堺雅人の「存在感」の秘密が
少しづつ説き明かされていくように
感じてきます。

「存在感」の輝き、とても素敵です。

なにか「きらりとした」ものを知り、
自分のこととして感じることができれば、
それは、生きる喜びに繋がる、

そう感じるのです。

ぜひ、本書を読み進め、その感覚を
味わって頂ければと願っています。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶ 髭

ひとのこころはゼンのサトリのように
深遠だ。それでもわれわれは、やれる
ところから手をつけていかなければな
らない。

禅僧はひたすら坐って呼吸をする。
われわれ俳優は、とりあえずヒゲでも
のばす、というわけである。

❷ 絆

いきをあわせてなにかをしたり、おなじ
リズムで生活をしたりと、そんな日常の
つみかさねで「絆」みたいなものはうま
れてくるのかもしれない。

本当に自信のあるワザしか客にはみせない
ものらしい。

❸ 学

そもそもモノをおしえる職業には、一種の
ものがなしさがつきまとう。

❹ 教

まえの現場でまなんだことは、つぎの現場
では、まず役にたたない。

ひとのはなしを、よーく、ききなさい。

以降、教訓のひとつにくわえているは、
いうまでもない。

❺ 品

品のいい人はあまり生命活動に
熱心でない。

品のいい人は、あわてて食事をしても、
声をあらげても、どこか品があるような
気がするのである。

なにをしても品のいい人が、
品のいい人だ。

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本書に私淑して私が思うこと

『本当に大事なことは、文字でのこして
いなくても、ちゃんとおぼえているもの
ではないだろうか』

これは、本書「あとがき」に記されている
台本に関することのようです。

この一言に絶え間のない日々の
真剣さを感じます。

エッセイを手に取ったのは、
初めてであった。

それは、俳優堺雅人に興味を持ったから。
その瞳に、なにか違う、違和感を
感じたから。そして、「存在感」を。

なぜか?

それは、その圧倒的な姿顔の「変わり目」
を目にしたから。

なにを求めているのか?
それは、その力を生み出した心のルーツ。

本書を読み終えてみて、その答えを
想像できたように感じています。

俳優堺雅人が大切にしているものが、
あきらかに存在し、それを維持、進化
させているように感じます。

それは、これからの私の残された人生に
とって、きっとプラスに働くように
思っています。

私も幼いころから大切にしてきたものが
あります。そして、今でもしっかりと、
深奥の特別の場所に置いています。

大事にしているものがあり、
常に意識をしながら生きる人は、
なにかを感じさせるものです。

引き合えるものです。

私には、人生を歩む喜びを与え、
支えとなってくれると、
心からそう思える人がいます。

俳優堺雅人は、そうした双方向ではなく
私からの一方的な思いなのですが、
とても刺激ある人なのです。

引き合わせてくれたドラマ「VIVANT」
に、深く感謝をしています。

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まとめ(「不思議な魅力」)

今回は、『文・堺雅人』(堺雅人)
についてお伝えしました。

ドラマ「VIVANT」から、一人の役者に
心が惹かれていきました。

繰り返しになりますが、テレビ画面に
見た圧倒的な「存在感」への変わり目。

俳優だからというだけではなく、
堺雅人という一人の人としての魅力、
それを生み出したルーツを知りたい、

そう強く思ったのです。

人に感動することは、
自分を成長させる出来事であるように
感じています。

そう頻度の高いことでは、
決してありません。

それ故にそう感じることができたこと、
この”ご縁”に感謝するばかりです。

俳優堺雅人という人について、
知りえたことは、とても良い刺激に
なりました。

魅力ある言葉が折り重なるエッセイ、
ぜひ、興味の湧く一言章から読み
進めて行かれることをお勧めします。

とても良い時間を過ごせると
思います。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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