自分の生き方を貫く『続大人のための偉人伝』

書評

『断固として自分の生き方を貫いた人たち
 ばかりである。』

これは、本書「続大人のための偉人伝」
(木原武一)の表紙に記されている
言葉です。

本書でとりあげられている9人に対して
著者が共通して感じているイメージとの
ことです。

ソロー、モリス、トルストイ、マルクス
フランクリン、ルソー、モンテーニュ、
レオナルド・ダ・ビンチ、福沢諭吉

以上の9人。

この中で最も気になる人物がありますか?

私は、トルストイです。

著者は、本書の中でトルストイとドストエ
フスキーを読破し、トルストイの方に惹か
れるとしている。

私も両作家はかなり読み込みました。
どちらかを選ぶとすれば、私もトルストイ
の文体と思想の方が好ましく感じます。

ぜひ、この9人の「自分の生き方を貫く」
姿を読み進めて頂きたいと思います。

きっとご自身の生き方にエネルギーを
注いでくれることと思います。

お勧めの一冊です。

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本書で学んだ素敵な言葉

苦悩するがゆえに我あり

「人生とは何であり、自分とは何であり、
自分はいかに生きればいいのか」

(本書トルストイの章での著者の言葉)

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生き方に迷いを感じる時期にあるあなたへ

『ソローの生き方ならびに思想から強く
印象づけられるのは、何といっても、
その自信にみちた態度である。』

これは、著者がソローに対して抱いている
印象を表わした言葉です。

この自信がどこから来ているのかを考えて
みることが、自分の生き方を探るうえで、
とても良いと感じました。

人生の中で、ふと、自分の生き方について
考える時期があると思います。

私の場合は、本質的に変わらぬ考え方が
ありますが、ただ時々、生きる方向性と
いうようなことで悩むことがあります。

自分の生き方を貫く、あるいは、自らに
自信を持って生きている人の姿を知ると
自分の生き方の迷いを払い、新たな力が
湧くように感じるのです。

本書で紹介されている9人は皆、自分の
信念をしっかりと持った人々です。

その生きざまに触れることで、新しい
生き方の方向性が見えてくる、
そのように思うのです。

新たな自分を発見するために、
本書は、お勧めの一冊です。

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自分の生き方を貫いたトルストイに対する著者の思い

『トルストイを読み始めたのは、
中学二年生の頃だったと記憶する。』


これは、本書「トルストイ」の章の最初に
記された著者の言葉です。

さらに、中学三年生で「復活」を読み、
「戦争と平和」、「アンナカレーニナ」に
取り組んだのは高校生になってから、

ドストエフスキーの作品にも挑戦した、
と記されています。

そして、意味深い次の言葉を
綴っています。

『このふたりから何を得たのかと自問
してみると、明確な答えを出せないこ
とに気づく。』

『高校生の私にはトルストイやドスト
エフスキーの世界を十分に味わい、
理解するために必要な経験や知識が欠
けていたことがいまにしてよくわかる』

『その後、折にふれ、このふたりの
作品を読み返し、再読を完了した。

私にとって、それは再読というよりも
継続した読書と言った方がいい。

いまようやく読み終えたという
感じである。』

実に共感できる言葉である。
私も二度読む経験をしています。

著者が示す「ようやく読み終えたという
感じである」という言葉は、経験を重ね
た後に読み終えた人には、

自然に受けとめられるように思います。
私がそうであったように。

トルストイの生涯を要約する言葉として、
著者は次のように記しています。

『解くことができない悩みが彼の人生の
時間を緊張感で満たし、傑作を生む超人
的な集中力を生み出したのだと考えられ
る。』

トルストイを読んできた私にとって、
この言葉は自然に受け入れることが
できるように思います。

「悩みがなければならぬ」という思いが、
トルストイの「自分の生き方を貫く」支え
原動力であったように思います。

本書で紹介されている他8人についても、
ぜひ、彼らの思いの源泉を辿って頂きたい
そのように思うのです。

お勧めしたい一冊です。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。

ぜひ、本書に綴られた考え方を知り、自分
はどう考え、どう行動に活すのかを考えて
みて頂ければと思います。

【引用5選】

❶トルストイ
苦悩するがゆえに我あり

悩みがなければならぬー
これこそ、トルストイの生涯を要約する
言葉である。

人間は何のために生きているのかという
ことをトルストイは生涯にわたって問い
続け、悩み続けた。

「何のために生きるのか、そして、おれ
はそもそも何なのか?生とは何か?全体
をあやつっているのはどんな力か?」
(戦争と平和でのピエールの自問)

❷レオナルド・ダ・ビンチ
飽くなき好奇心

古今でもっとも名高きこの画家を、いかに
すれば身近な人間とすることができるかー
私が興味を抱いているのはこのことである

彼はなにごとにつけ、「それはどうしてな
のか」、「どうすればいいか」と考え、
ともかくもそれに答えを出すことができた
人間なのである。

❸マルクス
ラディカルに考える

個人であること、つまり他人とは異なる
個性をもった人間であることと、他人に
理解されうる普遍性をもった人間である
こと、このふたつの条件が満たされては
じめて、人間を「類的存在」と呼ぶこと
ができるとマルクスは考えたのである。

❹ソロー
わがままに生きる

「私は強制されるために生まれてきたので
はない。私は自分自身の流儀で息をするつ
もりである」とソローは言っている。

彼は生涯、これを守り抜き、貫き通そうと
した。つまり、わがままに生きようとした
のである。

❺福沢諭吉
文明は人を高尚にする

人間の心掛けは、とかく浮世を軽く見て、
熱心に過ぎざるにあり。

かく申せば、天下の人心を冷淡に導き、
万事に力を尽す者なかるべきにや思われる
けれども、けっして然らず。

浮世を軽く見るは心の本体なり。
軽く見るその浮世を渡るに、
活発なるは心の働きなり。

内心の底にこれを軽く見るがゆえに、
よく決断して、よく活発なるを得べし。

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自分の生き方を貫くトルストイの姿を知り、私が深く思うこと

『悩みがなければならぬ』

著者が記すこのトルストイの生涯を要約
した言葉が、ずっと気になっています。

トルストイが自分の生き方を貫く原動力
がここにあるように感じます。

そして、私が思い続けていることに刹那
であるにしても共通項を感じています。

『悩みは成長の源。
 考える読書が未来を拓く。』

これは、私の書評ブログ「せきがくの旅」
のコンセプトです。

ポジティブに悩むことは、とても
大事なことだと思っています。

悩みは、新たなことに挑戦するからこそ
生れてくるものであり、解決できた先には
願いの叶った景色と共に成長がある為です

人生、常に悩む状態でありたいと理想を
追って過ごしています。

今こうしてブログを書いている最中も、
悩んでいることがあります。

先ほど、その問題の解決に向けて、
行動をとったところです。

著者は、トルストイについて、
次のように考察しています。

『彼の念頭にあったのは、この世で何が
正しいかということのみであって、

その判断から理想が生まれ、現実と妥協
することなく理想の実現に向けて努力す
ることこそ人間の義務だと考えた。』

実に意味深く、生涯胸に留めおきたい
言葉に感じています。

私の行動の源は、「正しくあること」
です。

トルストイの思いに通じるものを
感じています。

本書を読み進め、トルストイの「自分の
生き方を貫く」その根源的な機微に触れ
てみることをお勧めします。

他8名の生きる姿と共に。

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まとめ(「生き方」)

今回は、『続大人のための偉人伝』
(木原武一)についてお伝えしました。

生き方は、ひとそれぞれ。

しかし、その中に合って、
「自分の生き方を貫く」姿は、
とても頼もしく、輝いています。

人の生きる姿を見ることで、
それまでは自覚できていなかった自分を
知ることもあると思います。

本書にある自分の生き方を貫いた9人を
知ることは、本来の自分を認識し、

さらなる成長を遂げるために、とても
有益な機会になると思います。

ぜひ、本書を手に取って、目次を捲って
みて頂ければと思います。

新たな景色が待っていることと思います。

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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