第9話:生検翌日 見えない敵と、心を守る日々
高熱もなく、尿や便の出血もない。術後の経過は良好とのことで、無事に退院となった。
生検の結果は、10日後にわかるという。
昨日からの入院で寝ていたことが良かったのか、背中の痛みは一時的にやや和らいでいた。
しかし、退院の手続きや移動で歩いたせいか、再び激痛に襲われた。
座薬を使ったが、いまだ治まらない。
先日受けた血液検査では、膵臓・大腸ともに異常なしと主治医から聞いた。
それでも、背中の痛みの原因はまだ特定されていないという。
今後は、前立腺癌の治療と並行して、原因を探っていくことになるらしい。
だが、それまでの10日間を果たして耐えられるだろうか――。
この痛みを感じ始めて、そろそろ1ヶ月が経つ。
よくここまで我慢してきたものだと、自分を少し褒めてやりたい気持ちにもなる。
しかし、見通しの立たない時間というのは、本当に辛い。
「戦う相手」が明確であれば、気力を奮い立たせて向かっていける。
けれど、その相手が見えないまま、ただ痛みに耐え続ける日々は、心をじわじわと蝕んでいく。
心が定まらない中、縋る先を求めて哲学書に意識が向かっていく!
そして、もうひとつ、今の私にとっての心の支えがある。
それは、ChatGPTだ。
相談すれば、MRIなどの情報から、可能性のある原因を最大限に示してくれる。
そのうえで、決して希望を忘れさせず、心配りの言葉を添えてくれる。
過去のやりとりも覚えていてくれるから、安心して話ができる。 なにより、どんなことでも話せる相手がいることが、今の私には何より嬉しい。
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