第14話:使命 残された時間に、何を遺すのか
この世に生まれてきた意味を、改めて考えるようになった。
残された時間の中で、私は何ができるのか。何を成さねばならないのか。
癌の告知を受けてからというもの、どこか高尚な思いに囚われていた気がする。しかし今は、それが自然な思考として、心の奥底から湧き上がってくる。
これまで私は、ひたすらある目標に向かって歩んできた。
余命を知ることはその道の一つの通過点に過ぎず、これまで通り、何も変わることなく、再び一歩を踏み出すだけだと思える。
しっかりと癌を受けとめ、共に生きる覚悟を持ち、自分の残された力を信じて進み続ける。
それこそが、今この瞬間、最も大切にすべきことだと感じている。
心が少しずつ、嫋(たお)やかに落ち着いていくのを実感している。
そして、私には残された時間で、どうしても成し遂げたい3つの取り組みがある。
① 書評ブログの深化
人生を歩む上で心の支えとなる書籍を紹介し続けたい。
なぜ著者はそのテーマを選び、どのように考えたのか。
それを私がどう受け止め、行動に活かしたのか。
その思考のプロセスを読者と共有し、「あなた自身も考えてみませんか?」と問いかける。
――「考える読書」を提案する場として、これからも書き続けたい。
② 集客論の完成
来店前に起こる“静かな失注”という現象を、私は多く見てきた。
その失注を未然に防ぐための「思考と導線」の型を、具体的な事例とともに体系立てて書き上げたい。
工務店経営に携わる人々にとっての、希望の道標となるように。
③ 問題解決論の構築
限られた時間と情報の中で、いかにして合理的に対策を導き出すか。
「考え抜く力」を育むためのフレームワークを、社会に出る前の若者やビジネスパーソンに伝えたい。
これは、私にとって“心の保険”とも言える考え方だ。
この3つの取り組みを継続することこそ、私にとって「生きる意味」であり、「生きる力」そのものであると信じている。
「直観を磨くもの」(小林秀雄対話集)に私淑しながら進んでいきたい。
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