第4話:前夜 ― 審判を待つ夜の孤独
PSA値300(正常値は4以下)――
前立腺癌の可能性が非常に高いと告げられてから、4日が経ちました。
明日はいよいよ、MRIと生検。正式な診断結果が出る日です。
怖い。ただ、ただ怖い。
まるで余命を告げられる審判を待つような気持ちです。
自分がこんなにも弱い人間だったとは。
けれど、微かな希望にすがり、必死に踏みとどまろうとする自分もいる。
こればかりは、自分の力ではどうすることもできません。
これまでも、人生の中で無力さを痛感し、涙が止まらなくなるような出来事はありました。
けれど、今回は命そのものに直結している。
前立腺癌であることは、もはや確実でしょう。問題は、転移の進行度です。
完治は難しくとも、この痛みを和らげる術があるのか。
戦う相手を知ることが、前に進む第一歩になるのだと思います。
父も、義父も、この道を歩み逝きました。
痛みに耐えながら、前を向いて。
今日の痛みは少し和らいでいます。
でも、それも一時のこと。またぶり返すでしょう。
それでも、私は覚悟を決めました。
この痛みも、この気持ちも、すべて記録として残しておきたい。
やがて、後を歩む誰かの小さな支えになれることを信じて。
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