【書評】前立腺癌 共生 闘病記『末期がん おひとりさまでも大丈夫』

書評

ひと月前、血液検査の結果PSA値310、
前立腺癌と転移により、ステージⅣの
告知を受けました。

心が定まらないまま向う先は書店。

これまでも難題が生じた際は、
とりあえず書店に向かい、私淑を受ける
べき書籍を探し頼ってきました。

しかし、今回はこれまでとは全く異質、
かつ解決不可能な難題、頼る先はない。

ただ、足はこれまでどおり、
自然と向かうべき書籍コーナーに。

目の前に一冊の書籍のタイトルが
飛び込んできました。

医療ジャーナリストによる等身大の闘病記
末期がん「おひとりさま」でも大丈夫
(著者 長田昭二)

この感覚は、以前にも一度ありました。
それは、20年前、プロジェクトの
運営に苦慮していた際の事です。

かつてない大きな問題を抱えた際には
突然、解決の手立てが目の前に現れる
ものです。

書籍「問題解決の思考技術」。
早々に私淑し、飯久保廣嗣氏に
親炙すべく上京。

そして、合理的思考術を教授し、その後
一つひとつ、道は拓けていきました。

しかし、今回は、そう簡単に道が拓ける
とは思えません。

これまでの人生において経験のない、
最大の難関に向かうことになります。

「人生の終わり」の始まり。

一縷の望みを託し、重く苦しい
「せきがくの旅」は、始まりました。

本書は、9章で構成されています。

第一章 検査がこわい
第二章 後悔しない医師選び
第三章 手術をためらう
第四章 心身と生活の変化
第五章 治療にかかるお金の真実
第六章 最新医療との付き合い方
第七章 抗がん剤がこわい
第八章 終活がはじまる
第九章 おひとりさまの死に場所選び

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本書で学んだ素敵な言葉

このまま忙しい毎日を過ごして、
気がついたら死んでいたーー
という終わり方ができたらいいな

(本書「おわりに」より)

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前立腺癌の共生紀を綴る著者の精気

僕の病気は前立腺がん。
病期は、ステージⅣ。
現状をわかりやすく言い換えると、
「末期がん」となる。

本書「末期がん おひとりさまでも
大丈夫」
の「はじめに」に記された
著者長田昭二氏の言葉です。

そして、次のように綴られていく。

僕の「失敗」から学んでほしい

いまの僕にできることは、がんが発覚する
までの流れ、がんにかかったら体にどんな
変化が生じるか、その時々でどんな検査が
用意されているのか、

その医療行為にはどんな副作用や合併症が
あるのか、がんの治療にはどれくらいの
お金がかかるのかー

といったことを、患者兼ジャーナリスト
として包み隠さず書き残しておくこと
だろう。

「患者兼ジャーナリストとして包み隠さず
書き残しておくことだろう。」という言葉
は、実に重く、その使命感に感服します。

私も前立腺癌、病期ステージⅣの告知を
受けました。

その瞬間のことは、
今でもよく覚えています。

末期がんという実感は、必要以上に重く
のしかかることはなく、それよりも、
忽ち背中の激痛を和らげて欲しいという
願いで頭の中はいっぱいでした。

その後背中の痛みが前立腺癌の骨転移で
あることがわかり、ホルモン治療により
痛みが和らぎ、ことの重大さに気持ちが
向かっていくことになりました。

なぜ自分が!
なぜ、今なのか?

絶望の淵に彷徨う時に、
本書に出会いました。

目の前の漆黒の闇の中に、一縷の望みの
灯りを感じました。

そして、本書により勇気をもらいました。

先達の歩みを知り、歩み方を知ることは
残された自分の歩む先を探るのに心強い。

私は、その手掛かりを頼りに、
今歩み始めたところです。

本書で紹介されている紹介記事の中で
私が特に興味を惹かれた書籍と言葉を
引用しておきます。

将来、私たちが歩んだこの同じ道を
歩むことになった方には、こう読み
進めて頂きたいと願っています。

本書に綴られた考え方を知り、
自分はどう考えどう行動に活すのか、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。

【引用5選】

❶PSAとは、Prostate Specific Antigen
というタンパク質分解酵素の略称で、
日本語にすると前立腺特異抗原。

前立腺にがんや炎症が生じると、血液中
に入り込んでいくPSAが多くなる。

PSA濃度が4ナノグラム/ミリリットル
以上になると前立腺癌にかかっている
確率が高い。

❷MRI(磁気共鳴画像)検査を経て
前立腺の組織検査が推奨されている。

❸癌か否かを判定するには、生体組織
検査(生検)を受ける必要がある。

癌が疑われる臓器の組織を採取し、
顕微鏡で観察して癌の有無や性質など
の診断につなげる検査である。

前立腺の生検は、肛門から器具を挿入し、
直腸越しに前立腺に針を通して組織を
採取する方法が一般的だ。

組織検査をすると、その癌が転移し
やすいタイプか、あるいはおとなしく
て物わかりのいい性格なのかの判定が
できる。

悪性度を見分けるこの判定をグリソン
スコアと呼び、2~10までの九段階で
評価される。(10に近づくほど悪性度
は高くなる。)

❹前立腺癌は男性ホルモンを餌にして
増殖する。そこで男性ホルモンを抑え
込むこtごで癌の勢いを弱らせるホル
モン治療が行われる。

(ゴナックス、リュープリン、ランマ
ーク、ザイティガ)

❺前立腺癌が骨などの他臓器に転移した
ときに行われる化学療法は、まず、
ドセタキセルという抗癌剤を三~四週間
に一度投与し、最大八回投与する。

次は、カバジタキセルという抗癌剤を
三週間に一度投与する。

いづれも殺細胞性抗癌剤に分類される。
これらは延命治療なので、根治を目指
すものではない。

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本書に私淑して私が思うこと

59歳、末期がんの医療ジャーナリスト。
仕事を変わらず続け、趣味や海外旅行も
楽しんでいる。

いつかはやって来る最後の瞬間まで、
自分のことは全て自分で決めたい。

悲愴感ゼロ、前向きな気持ちになれる
新しい時代の「がん闘病記」。

これは、本書の「表紙裏」に記された
著者の言葉です。

気持ちが萎えていた私に、一縷の希望と
そして、「癌との共生」という道を
示してくれました。

ステージⅣの告知を受けた私ですが、
全く前立腺癌の知識がありません。

突然の背中の激痛に悩まされた一ヶ月。

原因がわからず、整形外科、内科、
泌尿器科を受診し、血液検査、CT検査、
MRI検査、生検、RI検査まで受けて、
やっと原因が前立腺癌の骨への転移だと
わかりました。

原因がわからず検査と、診察を待つ
時間はとても苦しいものでした。

原因がわかり、痛みを抑える術がわかった
のは良かったのですが、やはり前立腺癌、
しかも骨への転移は言葉にならないほど
辛いものでした。

前立腺癌については、全く知識がなく、
この先どうなるのか、どう過ごして
いけばよいのか、先が見通せないのは
辛いものでした。

そんな中、本書に記された著者の記録は
私に希望の道を示してくれました。

読み進める中で、少しづつ気持ちが前に
向かっていきました。

言葉の力は、偉大です。
生きる力を与えてくれます。

根治はできませんが、「癌との共生」と
いう道を示してくれました。

そして、私も記録を残していこうと思い
ブログ「癌克服奮闘記 死を見つめる!
心の揺らぎを越えて」
を始めました。

不幸にして、私の後を歩むことになった
方の心の支えとなることを願って。

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まとめ(癌との共生)

このまま忙しい毎日を過ごして、
気がついたら死んでいたーー
という終わり方ができたらいいな

この著者の言葉は、私にとって、
とてもショッキングでした。

あぁ、こんなふうに思えるようになるには
どうすれば良いのだろうか。

答えは、本書を読み進める中で、自然に
見いだすことになりました。

「癌との共生」という生き方。

それを知ったその瞬間から
「人生の終わり」の始まりとなりました。

私の気持ちは、前に向き始めました。
そして、それは、今でも現在進行中です。

繰り返しになりますが、書籍の力は
素晴らしいですね。

人を活かしてくれます。

最後の「せきがくの旅」が、
始まりました。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

#前立腺癌 #癌克服 #闘病記 #希望の記録 #癌と向き合う

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