『答えがない難問と困難にきみは
どう立ち向かうか』
これは、本書『HARD THINGS』
(ベン・ホロウィッツ)の表紙に記
されたメッセージです。
実に、興味深い言葉です。
達成すべき目標が大きければ大きいほど、
この「答えがない難問と困難」に遭遇
する機会は増えることと思います。
しかし、経営者は「答えがない」としても
「決断」をして、「断行」しなければなら
ないのです。
では、どうすれば良いのか。
それには、先人の経験に学び、意志力で、
いくつもの問題を解決していくことである
と、著者は繰り返し主張をしているように
私には感じられました。
ぜひ、本書から著者独自の「独特の視点」
を体感して頂ければと願っています。
本書は以下の章で構成されています。
・生き残ってやる
・直感を信じる
・物事がうまくいかなくなるとき
・事業継続に必須な要素
・わが人生の始まりの終わり
では、意志力を養う
「せきがくの旅」をどうぞ!
本書で学んだ素敵な言葉
困難な問題を解決する法則はない
本書「8章」より
意志力によって前に進む術を養ってほしい!
『起業にしても、企業の中で取り組む新規
事業にしても、たいていのことはうまく
いかない。』
これは、本書「日本語版序文」の執筆者
(小澤隆生)の言葉です。
心に染み入る言葉に感じます。
新規の事業に挑んだ経験者であれば、
私と同じようにそう感じることと
思います。
それは、とても、とても厳しく、
出口の見えない、長い戦いです。
しかし、諦めなければ問題は解決できると
私は思っています。
本書にはそのために参考となることが、
多く記されています。
それは、以下の表現で表されています。
『うまくいかないときにどう考えたのか、
どう切り抜けたのかを紹介している。』
そして、この困難を乗り切るための能力
について、次のように記しています。
『何かを生み出す人、リーダー、起業家と
なる人には、ふたつの能力が必要になる。
ひとつは、現状を正しく把握する力。
ふたつ目は、次々と手を打つ能力だ。』
この二つの能力は、私自身の体験を振り
返ってみても、非常に大事な能力である
ことが実感できます。
私は、新しい事業を進める際には、
以下のように考えています。
❶問題は、「あるべき姿(目標)」と
「現実」との「差」である。
❷故に、しっかりと「現状把握」をする
必要がある。
❸そして、問題があるのであれば、原因を
究明し、対策をとる必要がある。
❹その際に、どの対策を取るべきかを
しっかりと見極める必要がある。
❺さらに、実施すべきと決めた対策の
リスク分析をする必要がある。
著者は、「次々と手を打つ能力」を
重視しています。
私もそのように思います。
ぜひ、本書に私淑し、2つの能力を
身に付けて頂ければと願っています。
「意志力」で困難に挑む著者の考え方
『困難なことの中でももっとも困難なこと
には、一般に適用できるマニュアルなんて
ないのだ。』
これは、本書の「イントロダクション」に
記された著者の言葉です。
さらに、言葉は続きます。
『ただし、こういう困難な経験から得られ
る教訓もあるし、有益な助言もある。』
新しいアイデアというものは、或る時、
突然に浮かぶことがあるでしょうが、
多くは既存のものについて深く考えた
先に思いつくことが多いと思います。
その思いついたことを進めると、
新たな問題が生じ、その対策を考え、
再度進めて行く。
この問題の把握と思考の繰り返しで
あるといえます。
私も新規の事業を生み出してきましたが、
それは、いまでも改良を進め、継続して
います。
「なにが問題かがわかれば、それはもう
問題ではない」
「しかし、ひとつの問題を解決した先には
次の問題が待っている」
そう私は思っています。
そして、大事なことは、
「諦めないこと」だと思っています。
そのためには、本書を読み進める中で
わかってくる「意志の力」の偉大さを
信じ、見つめることです。
本章の最後には、こう結ばれています。
『ゼロから何かをつくり上げようとして、
苦闘している人々にこの本を捧げよう。
私の経験が少しでも何かの手がかり、イン
スピレーションとなるよう祈っている。』
私は、著者のこうした言葉に引き込まれる
ように本書を手にし、「せきがくの旅」を
始めることになりました。
では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。
本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。
【引用5選】
❶まったく異なった立場に身を置いてみる
能力は、状況の見方を根本的に変え、別の
結果があり得ることを気づかせてくれた。
単に、物事の成り行きについて別の有効な
シナリオがあることを示すだけで、わが社
の社員の間に希望の火を灯させたことが
何度もあった。
❷自分がしたいことではなく、何が大切な
のかという優先順位で、世界を見ることを
このときに初めて学んだ。
自分のことを考えるより先に、私にとって
大切な人たちのことを考えなくてはならな
い。
❸「われわれがが、今やっていないことは
何か?」という項目を追加した。
時としてやっていないことこそ、本来集中
すべきことである場合がある。
❹ほとんどの人は、そこまで強くない。
どんな偉大な起業家も苦闘に取り組み、
困難を乗り越えてきた。
苦闘は、偉大さが生まれる場所である。
❺苦闘の真っただ中にいるときは、
簡単なことはなにもなく、すべてが
間違っているように感じる。
奈落の底に落ちたら、二度と
はい上がれない。
しかし、私の体験では、予想外の幸運と
助けによって、抜け出せた。
本書に私淑して私が思うこと
『苦闘を愛せ。(中略)自分の独特の性格
を愛せ。生い立ちを愛せ。直観を愛せ。
成功の鍵はそこにしかない。』
これは、本書「第9章」において、著者が
語っている言葉です。
日々、困難に立ち向かっている身にとって
は、深く心に沁みる言葉です。
「自分を信じること」でしか、
解決の道を見出すことはできない、
そう著者は教えてくれています。
私は、迷ったら難しい方を選択する、
そんな生き方を実践してきました。
それは、常に前を、高みを目指す思いを
大事にしたいからです。
なにがあっても、先が見えなくなっても
決して諦めたくはないのです。
まずは留まり、じっと現状を見つめます。
そして、できることで、まだやっていない
ことを考え整理します。
ぎりぎりまで動かず、思いが定まれば、
一気に「行動」に移ります。
その際に大切にしているのが、著者の
言葉にもある「直観」です。
4つの思考プロセスで問題を整理し、
「直観」で行動を選択し、実践しながら
修正を加え、解決の扉を拓きます。
この生き方は、今後もきっと変わりは
しないと思いますが、本書に私淑して
新たに意識を深めたことがあります。
それは、「投げ出さない」ことです。
そして、「実践知」を追求することです。
まとめ(「意志力」)
今回は、『HARD THINGS』
(ベン・ホロウィッツ)』
についてお伝えしました。
本書を読み終え、一番に感じることは、
「意志の力」の大きさです。
「苦闘」は、「意志の力」で解決できる、
そう思えるようになったのです。
と同時に、「意志の力」が偉大であること
を実感しました。
『答えがない難問と困難に
きみはどう立ち向かうのか』
この本書のテーマに、読み終えた結果、
今では「意志の力」で解決できる、
と、そう思っています。
そして、一番大事なことは、困難に怯む
ことなく、常に前に向かって進むことだ
と前向きになっている自分を感じます。
新規事業に挑む多くの人々に
知って欲しいと願っています。
「決して投げ出さない」という信念を
持ち続けることの意義を。
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
コメント