「道をひらく」に救われた日――末期がん告知から見えた“生きる力”とは?

書評

こんにちは。
今回は、私の人生を大きく支えてくれた一冊、松下幸之助著『道をひらく』についてお話しします。


■ 「道をひらく」との出会い

「雨が降れば、人はなにげなく傘をさす」
この一文で始まる『道をひらく』は、日本人の多くに読み継がれてきた人生の指南書です。

私は64歳。
これまで多くの困難を経験してきましたが、今回の「がん告知」ほど心を揺さぶられたことはありません。

医師から告げられたのは「前立腺がんステージ4、骨転移あり」。
根治は望めない――そう言われた瞬間、心の支えを失いました。

そんなとき、ふと手に取ったのが『道をひらく』でした。


■ 「酷」に感じた言葉が、希望に変わった瞬間

「道をひらく」という言葉は、末期がんの患者にとってあまりに厳しい響きを持ちます。
生きる時間が限られている私にとって、「新しい道をひらく」とは何を意味するのか。

しかし、ページをめくるうちに、不思議と心が静まっていきました。
著者の言葉の奥にある「素直な心」「ありのままの姿勢」が、沈んだ心を少しずつ照らしてくれたのです。

「いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道。ともかくもこの道を休まず歩むことである。」

この言葉に出会ったとき、涙があふれました。
どんなに苦しい状況でも、いま自分の立つ場所に意味がある。
そう信じられるようになったのです。


■ 5つの章が導いた“生きる力”

本書は11章で構成されていますが、私が特に心に残ったのは次の5つです。

  1. 運命をきりひらくために
  2. 自信を失ったときに
  3. 自主独立の信念をもつために
  4. 生きがいのある人生のために
  5. 国の道をひらくために

それぞれの章には、深い人生哲学が込められています。
ここでは私が特に感銘を受けた言葉を紹介します。


■ 「素直に生きる」

「素直さは人を強く正しく聡明にする。」

この言葉は、私の心に深く残りました。
がんという逆境に置かれた今、素直に現実を受け入れることがどれほど大切かを痛感します。

「なぜ自分が…」と嘆くよりも、「今できることを、丁寧にやろう」と思えるようになったのです。


■ 「志を立てよう」

「本気になって、真剣に志を立てよう。志を立てれば、ことはもはや半ば達せられたといってよい。」

病気になっても、志を失うことはありません。
むしろ、残された時間が限られているからこそ、「伝える」という志が明確になりました。

それが、私がこのブログを書き続ける理由です。
読書を通じて感じた「希望」を、多くの人に届けたい。
それが私の新しい道です。


■ 「日々是新(ひびこれあらた)」

「日々是新なれば、すなわち日々是好日。」

この章を読むたびに、私は「今日」という日を愛おしく感じます。
たとえ病院のベッドにいても、朝の光や家族の笑顔は新鮮で、美しい。

“昨日と同じようで、まったく違う今日”に感謝する気持ちが湧いてくるのです。


■ 「生と死」について

「人生とは、一日一日が死への旅路である。」

この言葉には、重さと優しさが共存しています。
死を恐れるのは自然なこと。
けれど、死を見つめることで“生”が際立つ――それを私は今、身をもって感じています。

死を意識したとき、人は初めて「どう生きるか」を真剣に問うのだと思います。


■ 「心を高める」

「人間としての美しさをみがきあげるために、きびしさを苦痛と感じないまでに心を高めたい。」

この言葉に出会い、私は「学ぶ心」を取り戻しました。
どんな状況でも、人は学び続けることができる。
それが、人生を輝かせる力になるのです。


■ 「学ぶ心」――生きる原動力

本書の終盤に登場する「学ぶ心」の章を読むと、心が温かくなります。

「どんなことからも、どんなひとからも、謙虚に素直に学びたい。学ぶ心が繁栄への第一歩なのである。」

私はこの一文に、これからの人生を託そうと思いました。
がんをきっかけに「学びたい!」という意欲が以前にも増して強くなったのです。

まだまだ読みたい本があります。
まだ学びたいテーマが山ほどあります。
その気持ちが、私を生かしてくれています。


■ 本から受け取った“静かな勇気”

『道をひらく』を読み進めるうちに、不思議と力が湧いてきました。
「休まず歩む姿からは、必ず新たな道がひらけてくる。」

著者がこの言葉を残した背景には、敗戦後の混乱や経済苦など、計り知れない試練がありました。
それでも「道は自分でひらくものだ」と信じ続けた松下幸之助。

その姿勢は、今の私にとって何よりの励ましです。


■ 私にとっての「道をひらく」

病気になって初めてわかったことがあります。
“命の有限さ”が、人を真剣に生かせるということです。

医師に「5年生存率は30〜50%」と告げられたとき、
私の中で「終わりの道」が一本見えました。

しかし、本書を読んでからは、
「終わり」ではなく「続きの道」が見えるようになりました。

いま私が歩いているこの道こそ、人生の最終章。
ならば、誠実に、丁寧に、一歩ずつ進もう。
その歩みの中で誰かの心に光を灯せたら――それが私の“道をひらく”ことだと感じています。


■ まとめ:本は人生の羅針盤

『道をひらく』は、読むたびに新しい気づきを与えてくれる一冊です。
一言、一言が、経験をもとに考え抜かれた言葉。
読む人の心を落ち着かせ、前へ進む勇気を与えてくれます。

私にとって、この本は「生きる知恵の羅針盤」。
そして、「学び続ける心」を照らす灯りです。

もし今、何かに迷っている人がいるなら、
ぜひこの本を開いてみてください。

ページの中に、きっとあなたの“道をひらく”言葉が見つかるはずです。


ボアソルチ(幸運を)

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