創造することからの感動『あなたにもわかる相対性理論』

書評

Emc²」

アインシュタインが「光速度不変の原理」
から導き出したこの式をご存知の方は多い
と思います。

しかし、この式を表すたった3ページの
「第2論文」を知る人はそう多くはない
と思います。

それは、アインシュタインが1905年に
発表した「世界を変える可能性のある」
画期的なものでした。

この「シンプルで美しい式」の輝きと、
真の姿を求めて、私の「せきがくの旅」
は始まりました。

本書「あなたにもわかる相対性理論」
(茂木健一郎)は、私にとって時々、
読み返したい本のひとつになりました。

その理由は3つ。

1つ目は、相対性理論が非常にわかり
やすく解説されていること。

2つ目は、アインシュタインの考え方、
人生観が著者の考えや経験を通して
とても感動的に記されているからです。

そして、最後に相対性理論が物理だけ
ではなく、宇宙から音楽という多くの
分野に影響を与えてきたということを
教えてくれたからです。

私は、生涯を賭けてやり遂げたいことが
あります。そして、現在賢明に取り組ん
でいる最中です。

本書を繰り返し読むことで、物事を掘り
下げて考えることの意義と効果、そして
やり遂げることに対する勇気と希望を貰
えたように感じています。

多くの方に本書を手にして頂きたいと
思います。

そして、特になにか大きな目標に向かって
懸命に努力されている方にはお勧めです。

新たな発想を抱くきっかけになると
思います。私がそうであったように。

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本書で学んだ素敵な言葉

人は、人と出会うだけではない。

さまざまな思想や知識、
感覚とも出会う。

こんなにも素晴らしいアインシュタインの
理論や、その人となりにまだ出会っていな
い人がいるとは、なんとももったいないこ
とだろう。

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誰も疑わぬ事象を考え、その先の景色を見る

誰も決して疑う事のない常識があります。

そこに論点を向け、考え続ける意志と勇気
を持つものだけが、過去に類のない大発見
をし、難問解決の糸口を掴む。

そして、その先にある夢に見た理想の景色
を見ることができる。

アインシュタインは、それができた数少な
い偉人のひとりといえます。

「アインシュタインの天才性は、権威や
世間とは無縁に生き続け、批判的に考え
続けたことにある。単に、数理的な思考
の才能だけではない。」

著者は、第一章でこのようにアインシュ
タインについて記しています。

そしてさらに、こう付け加えています。

「そう考えれば、アインシュタインの生き
方、その理論について学ぶことの意味が広
がる。」

「アインシュタインのように生き、考える
ことで偉大な仕事をすることが可能になる
のだ。」

著者はアインシュタインのこうした能力を
アインシュタイン力と名付けています。

著者は、アインシュタインについて、
さらに、こういっています。

100年、200年にわたって物理学の常識と
された法則について「そもそも重力とは」
という問いを発する。

しかも、そこから答えを導き出すことが
できた稀有な人である。

目の前の難題、解決の糸口が見つからず
苦慮するときがあるものです。

そうした時には、常識とされていることに
フォーカスし、「そもそも、それはどうい
うことか」と考えを深めてみることです。

本書は、こうした取り組みで、新たな発想
を生み出し、問題解決に向けて動き出せる
ことを教えてくれたように思います。

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アインシュタインとの出会いから科学者を志した著者の考え方

『人間の脳というものは不思議なもので、
たった一つの経験が大きな影響を残し、
人生の行く末を変えることがある。』

『私にとっては小学校五年生くらいの時
に読んだアルベルト・アインシュタイン
の伝記がそうであった。』

著者は、本書「まえがき」において、
冒頭このように記しています。

私も近しい経験をしています。

私は、書店で出会った一冊の本によって、
私淑と親炙を繰り返すことになり、
「合理的思考」を習得できました。

この思考技術を多くのビジネスマンには
勿論ですが、やがて社会に出ていく学生
にも伝えていきたいと考えています。

『人を変えるきっかけになるのは感動
である。』

この著者の言葉は、本書を手にして良かっ
たと思える理由のひとつを成しています。

「アインシュタインという人間と彼がつく
り上げた理論を知って、科学者になりたい
という私の決意は動かぬものとなった。」

この言葉、著者の思いを非常によく表して
いるように思います。

アインシュタインも以下の言葉を残して
いると著者は本書で紹介しています。

「感動するのをやめた人は、生きていない
のと同じである。」

著者が続けて記している非常に興味深い件
があります。

「ここでアインシュタインが言っている
感動とは、この宇宙を支配している法則
にふれることで私たちの心に起きるさざ
波のことだろう。それは、発見する歓び
であり、創造へと向かう衝動である。」

実に、意味深い記述である。

では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
事柄を引用しておきます。

【引用5選】

❶特殊相対性理論の画期性

アインシュタインの相対性理論は、相対
性原理と光速度不変の原理を二つの柱とし
ている。

光は常に一定の速度cで伝播することが分
かっている。これが光速度不変の原理だ。

時間は絶対的に定義されるものではなく、
時間と光速度との間に離すことのできない
関係があるという着想を得て特殊相対性理
論を構築している。

❷同時性の意味

同時性とは、時計の短針が七をさすのと、
列車の到着とが一致することである。

われわれの判断で、時間に関係のある判断
はすべて、常に、同時に起こった事象に関
する判断である。

たとえば「あの列車は七時にここに着く」
と私が言う時、その意味は「私の時計の
短針が七をさすのと、列車の到着とが同時
に起こる」ということである。

❸原子力との関わり

アインシュタインは、まったく別物と考え
られていた「質量」と「エネルギー」が、
実は同じものであることを発見した。

ほんの少しの質量であっても、そのすべて
を転換したら膨大なエネルギーが生まれる
ことになる。

もし太陽が石油を燃やすような化学反応で
燃えているのであれば、じきに燃え尽きて
しまうだろう。

質量のエネルギーへの変換(核融合反応)
で燃えているからこそ、巨大な熱と光を
放射し続けていられるのだ。

Emc²」

アインシュタインは、光速度普遍の原理
からEmc²」という結論を導き出して
いる。

光速度不変の原理とは、光の速さは秒速
30万キロメートルという超高速ではある
が、有限の速度であり光以上に速いもの
は存在しないということだ。

❺特殊相対性理論と一般相対性理論

特殊相対性理論の「特殊」とは、等速
直線運動のみを対象とし、加速度運動
をしている座標系では使えなかった。

「物質があればその質量(エネルギー)
によってまわりの空間はゆがむ。この
ゆがみが重力の正体である」というの
が一般相対性理論の主張だ。

アインシュタインは、重力場による
「時間の遅れ」も導き出した。

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「マーベリック」アインシュタインの生き方に対する私の思い

『マーベリック(一匹狼)的な生き方に
科学の本質がある』

これは、著者が第一章で語っている言葉
です。

私にとっては、とても共感できる印象的
な言葉です。

私が生きるのは、科学の世界では
ありません。

しかし、新たな価値を創造し、問題解決
を支援するための活動を続けています。

孤独に考え、繰り返し、繰り返し、
浮かんでは消えていく、うたかたの
解決の糸口。

微かに閃いた瞬間を抑え、
思考を突き詰め、深めていく。

新案を形にするまでの「思考」の作業は、
とても苦しく、孤独です。

しかし、その後の社会への転化の為の
「想像」と「共有」は、実に楽しい。

アインシュタインの生き方と思考過程は、
前者に取り組む際に、非常に勇気づけら
れるのです。

誰もが信じて疑いの目を全く向けない、
そうした事象に鋭く接し、問題の提起を
することで、新たな創造が生まれる。

アインシュタインのそうした能力は、
どのようにして培われたのか。

好奇心と意志の強さ、そして、
まだ見ぬ未来への強い期待感からか。

結果をだせるその理由の背後には、
強固なマーベリックな存在感が、
欠かせないと思うのです。

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まとめ(「相対性理論と共に」)

今回は、『あなたにもわかる相対性理論』
(茂木健一郎)についてお伝えしました。

アインシュタインの相対性理論は、どこが
真に革命的だったのか?

時間の遅れ、物体の縮み等々、相対性理論
のポイントとは?

こうした記述に惹かれて本書を
手にしました。

相対性理論は非常に興味があり、ぜひ、
理解したいとの思いから、過去にも
何冊か読んでみたことがあります。

しかし、自分の口から語れるほどの理解を
得ることがないまま今に至っていました。

本書は、非常にシンプルでわかりやすく、
特殊相対性理論と一般相対性理論が解説
されています。

そして、なにより、アインシュタイン自身
について、多くの事が記載されています。

最終ページに至るまでそう多くの時間を
要すことはありません。

興味が絶えることがないのです。

そして、巻末には、相対性理論の
「第2論文」が全文掲載されています。

このたった3ページの論文、ぜひ、自分の
力で読み進めて頂きたいと思います。

Emc²」が導かれる過程は、
とても感動的です。

「相対性理論」を理解し、あなたの次の
ステップを築くための「目の向け方」を
養って頂ければと願っています。

時には、マーベリックに生きる時期が
あっても良いと思うのです!

ボアソルチ。

株式会社CSI総合研究所
 代表取締役 大高英則

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