『明日を切り拓くヒントをどこに求めれば
よいのか。中略やはり大いなる歴史であり
先人たちの知恵であるのかもしれない。』
これは本書『世界を変えた経済学の名著』
(日本経済新聞=編)「はじめに」の章
に記されている言葉です。
「先人の知恵」に学ぶ、
実に、得心の行く言葉です。
1つ、質問です。
経済学の古典の中から5人の経済学者を
選ぶとすれば、どうですか?
瞬時に頭の中に浮かびますか?
おそらくは、経済学について学んだ方、
あるいは、経済を生業とする方なら、
その数は別にして影響を受けた経済学者が
あると思います。
私は長年の興味と仕事の関係もあり、
経済学の古典には大変興味があります。
私の中で浮かぶのは、以下の5人です。
・M・ウェーバー
・D・ヒューム
・アダムス・ミス
・シュンペーター
・ピーター・ドラッカー
ぜひ、ご自身のペースでゆっくりと、
そして、よく考えながら読み進めて
頂ければと願っています。
本書には、経済学の名著18冊の解説が
記されています。
・文明論之概略
・地中海
・経済史の理論
・ゆたかな社会
・自由の条件
・アメリカのデモクラシー
・プロテスタンティズムの
倫理と資本主義の精神
・人生論
・人口論
・自由論
・国富論/道徳感情論
・経済学原理
・雇用・利子および貨幣の一般理論
・経済発展の理論
・公共選択の理論
・人的資本
・断絶の時代
・経営行動
本書で学んだ素敵な言葉
「新結合」という明快かつ鋭い用語をもっ
て、技術革新を軸とする経済転換の諸相に
動態的に道筋をつけること。
本書「第14章」で紹介されている
J・A・シュンペーターの言葉より
先人の知恵に学び新たな創造に挑んでほしい!
馬車を何台つなげても汽車にはならない。
これも、本書の「第14章」に記されてい
るシュンペーターの言葉です。
「価値創造」として、あらたな仕組みを
構築する際に、このシュンペーターの言葉
は、大きな指針を与えてくれます。
「新結合」から「創造的破壊」へと進む、
その進化の意味と過程は、しっかりと学ぶ
価値があります。
全く新たな創造(発明)は非常に稀有な
ことだと思います。
既に創造(発明)されたものを新しい発想
で組み合わせ、あるいは進化させることで
過去にない全く新しい物ができあがる。
本書本章から、こうした姿が現実なのだ
と気づかされます。
「価値創造」を目指すのであれば、
シュンペーターを筆頭に、多くの先人の
知恵を参考にすることをお勧めします。
本書は、「思考創出」の根源資料として
最適です。
ぜひ、気になる著者の章から読み進めて
頂ければと思います。
先人の知恵に明日を切り拓く力強い支柱を見い出す著者の考え方
経済学や文明論などの巨人に焦点を当て、
彼らの思想の本質が刻印された名著を探訪
することによって、未来を想像する「糧」
としていただく為に編集しました。
これは本書「世界を変えた経済学の名著」
(日経新聞社=編)に記された言葉です。
「未来を想像する!」
新たな事業を生み出すには、この未来を
想像する力を養う必要がある。
著者は、本書で紹介をしている経済の
古典を学ぶことで、未来を想像する糧
になることを期待していると記して
います。
さらに、本書では次のように編集動機
について、述べられています。
『歴史の示唆するところに従って歩むべき
未来の方向を、揺らぐことなきものに固め
つつ、最良最善の道を切り拓いてゆく、
このプロセスに立ち返ることが、
これほどまでに重視される時代はなかった
かのしれません。』
歴史は繰り返すといいますが、
やはり過去に学ぶ姿勢は大事なことだと
思います。
そして、そこに解決の糸口がないと判明
したら、そこから先は自らを信じて、
考え、行動に移すしかない、
私はそう思って、私淑と親炙を繰り返し
ここまで来ました。
過去に学び、自ら考える生き方、
とても大事なことだと思うのです。
では、本書の中で私が特に興味を惹かれた
箇所を引用しておきます。
本書に綴られた考え方を知り、自分は
どう考え、どう行動に活すのかを、
ぜひ、考えてみて頂ければと思います。
【引用5選】
❶プロテスタンティズムの
倫理と資本主義の精神
(マックス・ウェーバー)
資本主義精神に関して、淘汰メカニズム
が機能するためには、それが人間の集団
によって抱かれた物の見方として成立し
ている必要がある。
❷人生論
(ヒューム)
明日も今日までと同様であるという予想は
あくまでも習慣から導かれたものである。
❸道徳感情論
(アダム・スミス)
社会秩序を基礎づけているのは、他人の諸
感情を自分の中に写しとって判断する能力
すなわち同感である。道徳的原則は諸感情
にもとづくというのが道徳感情論の意味で
ある。
❹経済発展の理論
(シュンペーター)
新結合という明快かつ鋭い用語をもって、
技術革新を軸とする経済転換の諸相に動態
的に道筋をつけている。
馬車を何台つなげても汽車にはならない。
❺断絶の時代
(ドラッカー)
ドラッカーは、「顧客の創造」こそが
事業の目的と説く。
目的を達成するには二つの意思決定が
不可欠である。一つは何を捨てるか、
いま一つは何に集中するかである。
本書に私淑して私が思うこと
『明らかであるにもかかわらず、まだ知覚
されていないものを探した。予測ではなく
観察である。
すでに起こったことを透徹した観察眼で
見抜くことで未来が見えてくる。』
これは、本書で紹介されている
ドラッカーの言葉です。
ここでいう「すでに起きた未来」から
読み取った将来の姿という視点。
こうした捉え方にとても惹かれました。
全て新たなことを創造することは、
現実的には少ないのだと思います。
そこにしっかりと照準を合わせて、
現実としっかり向き合うことの意味を
理解できたように思います。
シュンペーターのいう「新結合」とも
相通じるものを感じます。
「創造」は「想像」から始まる、そして、
その想像は、既に起きた未来に対して行う
ことで現実化され形となる、とそう感じて
います。
ドラッカーは、事業の目的は、
「顧客の創造」であると説いています。
「捨てるべきもの」、「集中すべきもの」
この選択の力を養うことで、目的は達成
されていくということ。
大事なことは、こうした考え方をいかに
実務に織り合わせるかを常に考え行動
することだと理解をしています。
本書は、「統合」というキーワードを
頭において読み進めることで、理解を
深めることができます。
ぜひ、本書を常に手元に置いて、考え方の
指針を見失わないようにし、考え、行動を
続けて頂ければと思います。
「顧客の創造」に挑んで頂ければと
願っています。
まとめ(「先人の知恵」)
『スミスの国富論の名を世界史上、不朽
にした最大の理由はどこにあったのか、
シュンペーターの経済発展の理論の要で
ある新結合の本質とは何か、~』
これは、本書「まえがき」に記されてい
る内容です。
本書が提示するこうしたテーマを基準に
して読み進めることで、それまでの認識
整理と新たな発見を期待できます。
経済の本質を理解することが、事業を進
めるうえでとても重要なことだと得心で
きるはずです。
本書で紹介されている経済学者が、
なぜ、それをテーマとしたのか、
そしてどう考えたのかを知る。
そのうえで、自分であればどう考え、
どう行動に活かすのかを熟慮する。
こうした取り組みを続けることで
大きく成長でき、事業推進に大変
役立つことを実感できました。
特に、「価値創造」を目指す経営者に
お勧めの一冊です。
ボアソルチ。
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
コメント