心を落ち着けたいとき、心の指針として
頼れる座右の書を求めていました。
幾度となく手に取ってはたがう日々。
それから何年か経ったある日、
旅先で知った佐藤一斎の言志四録。
それ以来、いつも手元に置くことに。
正確には、現代語訳された
『最強の人生指南書』~言志四録を読む~
(齋藤孝)です。
まず目に入ったのは、
着眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
西郷隆盛が好んだ言葉でもあります。
言志四録に綴られた一つひとつの言葉
が心に溶けるように滲みこんでいった
のを覚えています。
もうこれ以上先には進めそうにない!
そうした局面に立たされたときに
本来の自分を取り戻してくれるのが
座右の書なのだと思います。
しかし、心の底から頼れる書には、
そう簡単に出会えないと思うのです。
その時々の境遇、自分の置かれた立場、
助けを求める覚悟によって、
あるいは、自分がまだ気付かぬ希望の
未来に導いてくれる時勢によって、
座右の書は目の前に現れてくれると
思うのです。時期はひとそれぞれ。
本書は、言志四録から現代を生きる上で
大変参考になる言葉がセレクトされてい
ると感じました。
それは著者齋藤孝氏が、ご自分の経験の中
から仕事術、人生論等に関する重要な言葉
を選ばれているからだと思います。
では、これから本書が示してくれる
『最強の人生指南書』の教えを紐解
きながら一緒に考えていきましょう!
留まる吾身を心の指針に沿って前に進めてくれた言葉
着眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
『言志四録』(佐藤一斎)
もし、進むべき道を見失いかけているなら、その方へ
✅目標に向かって直走りに走り、
しかし、まだ成果がみられない。
✅今進んでいる道(実現策)は、
正しかったのか?と心が迷う。
こうした強い重圧に押しつぶされそうに
なった経験、ありませんか?
私はあります。幾度となく。
流石に今回は乗り越えられない!
そんな思いに至ったときに、
「心の指針」となるこの言葉が
救ってくれました。
もし、あなたが今、
そうした状況にあるのなら
本書の言葉群に目を通してみてください。
きっと、あなたにとって救いとなる言葉が
目次の中で待っていることと思います。
視点が高くなれば心が変わることを実感させてくれた儒学者の考え方
着眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
解説は、こうです。
出来るだけ大所高所に目をつければ、
道理が見えて、迷うことがない。
俯瞰せよ、
バルコニーへ上がれ!
等々、類似の意味合いを伝える言葉は
過去にも見てきました。
しかし、本書のこの言葉は、私にとって
素直に「心の指針」を与えてくれる言葉
になりました。
「岐せず(迷うことがない)」という
ここが大事なのです。
さて、解説は続きます。
「視点が高くなれば、全体と自分の関係が
見えてくるので、自分の利を捨ててでも
全体にとって利となることをするのが、
最終的にはプラスになるのだ」と。
そして、
「人が成熟するとは自己中心性を離れる
ことだ」と。
それは、「理(道理)が見えてくる故
のこと」という、そこに強い納得感を
得ました。
西郷隆盛はこの言葉をとても好んだと
いうことです。
この高い視点をどのようにすれば、
身につけられるのtか?
本書の著者齋藤孝氏は、「いろいろな視点
に立ってみる訓練をすること」だとの認識
です。
視点を移動させるとそれまで見ていたもの
とは異なる「理(道理)」が見えてくる。
ぜひ、日ごろからそうした意識を持ちたい
と思います。
「言志四録」には他にも、「心の指針」と
なる言葉があります。
私の中で特に心に残った言葉を引用します。
ぜひ、佐藤一斎の教えを知り、ご自身でも
深く、深く考えてみてほしいと思います。
迷いがなくなり、下した決断に自信が
持てることと思います。
【引用5選】
❶事を慮るは周詳ならんことを欲し、
事を処するは易簡ならんことを欲す。
物事を考える場合は周到綿密なることが
必要だ。一旦考えが決まったからには、
これを行うには、手軽に片付けることが
必要だ。
❷克己の工夫は一呼吸の間に在り。
克己の工夫は、難しいといっても
その実は「ここだ」という一呼吸
の間にある。
❸博聞強記は聡明の横なり。
正儀入神は聡明の竪なり。
何事でもひろく聞いて諸々の事情に
詳しく、記憶に強いということは、
賢明の横幅である。
深く道理を探求して神妙な奥儀に入る
というのは、賢明の奥行である。
❹春風を以て人に接し、秋霜を以て
自ら粛む。
春風の和やかさをもって人に応接し、
秋霜の鋭さをもって自らを規正する。
❺人の言は須らく容れて之を選ぶべし。
拒む可からず。又惑う可からず。
他人の言うことは、一応聴き入れてから
よしあしを選択すべきである。初めから
断ってはいけない。また、その言に惑っ
てはいけない。
次に、私が本書で得た気付きと考え、更に
その後の人生において受けた影響について
お伝えします。
私が本書を「心の指針」として信頼した思いとその後の人生観
着眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
「理(道理)が見えれば、迷いは消える」
と理解した途端に、心が軽くなりました。
再度、前に向かう切っ掛けとなりました。
言葉の力は大きく、不思議なものです。
「この島根の地からWebで発信し、
全国展開の仕組みを再構築する!」
東京から島根にUターン。
全国の工務店向けの研修事業を構築し
200社以上の研修講師を務める。
アナログによる集客から契約までの仕組み
を作り事業としては目標を達成しました。
仕組みを少しお話しますと、こんな感じです。
❶全国の工務店経営者を東京のセミナーに
集客します。
❷この工務店経営者は、「4要件」を
保持されている必要があります。
❸セミナーでは、「3つのこと」を意識
して話を進めると終了後にその場で研修
の申込をもらえます。
こうした仕組みを創り上げ、順調に事業を
進めていましたが、コロナ問題が生じました。
人の移動が許されなくなり、全てが機能
しなくなりました。
流石に、手だてがない!
悩む日々を過ごすことになります。
そうした中で、以前から手元においていた
本書に一週間、じっくりと向き合いました。
そして、これまでの事業の進め方を
Web上で展開したらどうなるのか、
という原点に戻ることができました。
本書が「心の指針」となり、再度仕組み
創りをする意欲を与えてくれました。
時間はかかりましたが、
集客からセミナー、研修まで全てをWeb
環境に移行しました。
まだ改良中ですが、あとは検証しながら
進めていけるところまで来ました。
「この島根の地からWebで発信し、
全国展開の仕組みを再構築する!」
「言志四録」は試行錯誤の日々を
支えてくれています。
そして、目標が再度定まった今、具体的な
問題解決は合理的思考で進めています。
これまでもお伝えしてきましたが、
私の問題解決の手法は合理的思考です。
その具体的な考え方は、
「問題解決の思考術」の著者である
飯久保廣嗣氏に教えを受けました。
気持ちを前に向けて、再度目標に向かって
進めるようになるまでが大変です。
そのためには、スタート地点に戻ることも
選択肢の1つです。
どの手段を選ぶかは、大所高所から見て
みることだと、そう心から思いました。
「道理が見えて迷うことがなくなる。」
その状態に身を置くことができました。
そして、救われました。
本書に、こころより感謝です。
まとめ(「心の指針」を頼りに新たな目標に挑む)
今回は、『最強の人生指南書』(齋藤孝)
~佐藤一斎「言志四録」を読む~
についてお伝えしました。
高い視点を持つことで、理(道理)が
見えてくる。
そのときに「心の指針」があれば、
迷うことなく決断ができる。
目標が高いほど、思い通りに事が進まない
そうした状況に陥る可能性は高まる。
しかし、挑戦し続けることに意義があると
思うのです。環境に屈することなく。
本書の選ばれた言葉群が、きっと
支えてくれます。
本書を一読し、今に活かし、将来に
備えて頂ければと願っています。
私からぜひ、お伝えしたいことがあります。
迷ったら勇気をもって難しい方を選択し、
一歩前に進めてみる。きっとそこには、
解決の糸口があります。
ボアソルチ
株式会社CSI総合研究所
代表取締役 大高英則
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